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どるとるの部屋


[7862] 希望の歌
詩人:どるとる [投票][編集]


この声は 君に届くかなあ
君の胸の中まで跳ねて届くかな

下手くそなフォームで投げたボールは
センターラインにも届かず落ちた

僕は何が言いたいだろう
それさえもう曖昧なままだ

届けたい気持ちばかりが先走って
歌ったそばから空回りするんだよ僕の声は

言葉にはいつも 凝っているはずなんだ
メロディだって いい線いってるんだ

だけどいかんせん思いが声に乗らない
落馬したように バランスを崩すだけ

五線譜に並べた音符を拾っていく作業
半ば流れ作業のように 無意識に働かせる

手放し運転のように危なげに調子づいて
転ぶのは目に見えて明白だ

今流行りの歌をなぞったような歌なんか歌いたくない 吐き気を催すような言葉

売れなくてもミュージシャンでいたい
だから宛もなく歌を歌っている

空や花に町の小さな造形物に 重ねた
思いが いつか誰かに届けばいいな

一番嫌いな言葉が「希望」や「愛」なのに
それを 歌ってしまうのはなぜだろう

一番好きな言葉は「戦争」や「殺戮」なのに 歌にできないのはなぜだろう

だから希望の歌さ
伝われ 今この歌を
必要としている
誰かの寂しい胸に

今流行りの歌をなぞったような歌なんか歌いたくない 吐き気を催すような言葉

売れなくてもミュージシャンでいたい
だから宛もなく歌を歌っている

空や花に町の小さな造形物に 重ねた
思いが いつか誰かに届けばいいな

届けばいいなと 歌っていこう。

2016/05/23 (Mon)

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