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どるとるの部屋


[7906] 夜明け前
詩人:どるとる [投票][編集]


この命とも 随分長い付き合いだなあ
家族より友達よりもしかしたら長いね

歩道橋の上から見た空は 泣いちゃうくらい優しい色をしている

わざと聞こえないようにささやいた「愛してる」は
今の僕に出来る精一杯の強がり

たくさんの人にもらった愛をいつか耳をそろえて返せるかな

僕を 取り巻くすべての 人とのつながりは
時として 冷めていて希薄だったりするけど
君と出会えたことは決して無駄じゃない
手をつないでるからつながってるんじゃなく
お互いを信頼して尊敬しあうから
そこにほどけない頑丈な結び目が出来るんだよ

最近いいことない 気の持ちようだと軽くいってくれるじゃないか

この街で一番の高いビルに上って 自分のちっぽけさを 知った

気安く人に 死を誘発する 言葉を吐きかけてる
心や思いやりはきれいごとではないのに

一人の人さえ愛せないようでは 愛されることは絶望的だなあ

誰かが誰かを思い 誰かが誰かに思われている
今日も どこかで誰かが愛をささやいてる
そして僕も誰かに愛をささやくのだろう
単に付き合い程度のつながりではない
お互いの良いとこも悪いところも知ってる
その上で ささやく愛してるの言葉には重みがある

どんな言葉なら 君は笑ってくれるだろう
遠く離れてからやっと気づく君の大切さ
寧ろ離れないとわからない君の大切さに
僕は寂しさだったり悲しさだったりに
泣きながら 気づいた まだ夜明け前の 薄暗い部屋で

僕を 取り巻くすべての 人とのつながりは
時として 冷めていて希薄だったりするけど
君と出会えたことは決して無駄じゃない
手をつないでるからつながってるんじゃなく
お互いを信頼して尊敬しあうから
そこにほどけない頑丈な結び目が出来るんだよ

そしてその結び目はやがて小さな
新しい結び目をつくるだろう。

2016/06/02 (Thu)

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