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どるとるの部屋


[794] そして空は夕闇に包まれて
詩人:どるとる [投票][編集]


不注意の結果でつまらない岩場に座礁してしまった舟
ずっとずっとあこがれてきた遠い日の夢ももう叶わないとわかったらただの幻だ
時々は思い出す
その夢を叶えるために燃えていた若き日の情熱をその熱苦しさを

背負ってきた夢なんてもうどうでもいいやなんて
くだらない言葉を吐き捨てて
真っ赤な夕陽に今日も僕は泣く
意味もなくただ泣くのさ

ひとりぼっちのこのぼくを照らす月の光
町は安らかな眠りに落ちて
やがて 目覚めるまで時を惜しみ命を惜しみ絶望的な現実に死ねずにいる僕は宙ぶらりんなこうもり状態

そして空は夕闇に包まれて
そしてぼくの心も日が暮れるように暗闇に包まれて

ありもしない答をただ
探している旅の途中で
ぼくが出した
答はぼくの手づくり

すっかり日が落ちて真っ暗になった町が窓の向こう側できらびやかに輝くネオンでとてもまぶしい
あんな世界はぼくには似合わない
だから今日も光のない夜に逃げて
今 暗闇の中

そして空は夕闇に包まれて
死んだような顔でただ死ぬのを待つ
そんなぼくがここにいるさ

ねえ もしも生きることが何より素晴らしいというならば
ぼくは素晴らしい人間だろう?
当たり前と笑わないで
懸命に日々涙するぼくを知らないくせに

座礁してしまった舟はやがて暗礁を乗り越えまた海原を突き進む
穴のあいたところは
また楽しい嘘で塞いで
ぼくはまた平気な顔で日々の流れに舞い戻るさ

夜が明けたら
目覚めたその世界に
おはようを言う
昨日と何ひとつ変わらないその世界に
あいさつをする

今日もほどほどに頑張りたい
これは願いであって誓いじゃないのさ
そんなににらまないでくれよ
痛む良心を押し込めてたまには自分を裏切ってやらなければいけない事も投げ出すくらいするさ

怒れる心をかき乱す
平静と情熱の間に
ある何かしらの思い
その境目に降る雨。

2009/12/30 (Wed)

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