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どるとるの部屋


[7944] その手ににぎられた物語
詩人:どるとる [投票][編集]


まぶたにぼうっと浮かんだ影を
誰もがぬぐいきれずに抱えてんだ

今日も流されていく 容赦なく人混みに
どこに行くんだろう 行き先はいつも宛もない道程

風が吹いていく先をただ目で追いかけて
立ち止まった道 見上げる空 暮れていくよ

愛してるの言葉より
ただそばにいてほしいと願う僕の心は
きっと欲がないんだろう でも
それ以上望んだら
歯止めが利かなくなるんだ
ここら辺がちょうどいいライン

そしていつの日か今日という日を
思い出して 涙ぐめるのなら 本望
少しでも 笑えるような思い出があればいい

掴んだまま離さない手の中に ギュッと
光を閉じ込めて 宇宙を想像しよう

勿体ぶってたけど 今こそ使おう
いつだって他人には左右されない
独裁者も顔負けの わがままな本性で

牙を抱いた 獣のように 本能の赴くままに 生きれたら いいのになあ

父親と母親と子供の三人家族が
河辺を手をつなぎ歩いている
幸せとは 本来こういうありふれている ものを言うんだろう
でも そんな幸せより 欲に目が眩むのが人間らしくて

握ってくれるあたたかな手を 引き離して 気づくと人生をお金で勘定している

その手にある 小さな小さな物語は
始まりも終わりもなくただ続いてく
誰かが本を読むのを待つように
羊膜に包まれた柔らかなベッドで
寝息を立てながら待っているよ

愛してるの言葉より
ただそばにいてほしいと願う僕の心は
きっと欲がないんだろう でも
それ以上望んだら
歯止めが利かなくなるんだ
ここら辺がちょうどいいライン

そしていつの日か今日という日を
思い出して 涙ぐめるのなら 本望
少しでも 笑えるような思い出があればいい

そしてただ一人の誰かを愛し
その人に 愛されればいいよ。

2016/06/10 (Fri)

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