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どるとるの部屋


[834] 青木ヶ原ミッドタウン
詩人:どるとる [投票][編集]


この森の中では
時間だけがただ動いている
時間だけがむなしく動いている
朝が来ても森は朝でも薄暗いから夜なのか朝なのかも判別できないほどさ

どうして 僕らは都会にあこがれるの?
都会なんて汚いだけさ

隣近所の顔すらわからないまま
僕は挨拶もなくたまに顔を合わしても
まるで青木ヶ原で首を括っている死体のように青い顔で日々を生きています

なんとなく
それとなく
都会のドアを開けてみた
開いても大したことはなかった
だけれどなんだか
つめたい街だから
長く居着くと人間性をなくしてしまいそうな ミッドタウン

君を愛している
死ぬほど 愛している
今日は会えるのかな
都会の路地裏
苔むした壁に寄りかかり
僕は別れた彼女に電話するふりをする
この街じゃ一人きりはさみしいなんてものじゃない
死にたくなるほどだから
誰も話し相手がいないんじゃ
それこそ死にたくなるから
嘘でも君に電話してるふりするよ

青木ヶ原みたい
出会う人
すれ違う人
見かける人
みんな
みんな
田舎では
見られない
つめたい
目と
つめたい
心を
もっている

もはや
生きているというよりは働くために動いているというだけの街みたい

こんな森には
時間なんて必要ないのに
時間を必要としている みんな みんな

今日も時間だけが
むなしく流れて
つめたい街を
行き交う人の波が
幽霊みたいで
横断歩道、思わず 肩を 大げさなほど引っ込めた
それなのに それなのに
変なやつを見る目をして
僕を睨む 誰か

時間だけが
時間だけが
人を縛って
時間だけが
時間だけが
うごめいている

青木ヶ原ミッドタウン
開いたらもう二度と優しく笑えない

住めば都だって?
僕にはとてもじゃないけどそんな言葉は 嘘にさえ思えるぜ

出会う人が悪いのか
住んでる場所が悪いのか
なんか不運な日々。

2010/01/04 (Mon)

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