詩人:どるとる | [投票][編集] |
夕暮れの道に影を落として
連なる 家々の明かりをたどって
道に迷わないように歩くよ
つないだ手は 火照って熱いくらいで
白い 吐息を 口元にまとわせながら
たまに 口癖のように好きだよとささやく
幸せは 言葉になんかしないほうがいい
決まったかたちや色なんかないんだから
ただ あるがままの僕で明日も君とキスをして
つまらないことで 喧嘩なんかしても
すぐに 仲直りしてまたきりもなく キスをして
何度だって 同じように 泣いて笑って
こんな風に 帰り道を 手をつないで歩ければ
幸せになんて いつだってなれるから
壁に所在なく立て掛けられた 傘
雨風にさらされて錆び付いている
僕らは とても恵まれている
「帰る場所がある」 それは思うより幸せなことだ
もうじき 日が沈むから 程なくチャイムが鳴るだろう
あの公園のそばあたりまで来たら
寒そうな 君の手を似合わない優しさで
握りしめた瞬間の君の笑顔を見たとき
僕はその笑顔のためなら どんなことだってできると思った
だから僕はその笑顔のために生きているんだろう
笑った顔が見たくて 無理をして しまうことも
喜びに変わるのは それもすべて君のせいだ
どこかからの帰り道 手をつないで歩くとき
僕は迷いなく思う その時が幸せであれと
重ねてく 時間は もう二度と 返らない
人は 一秒ずつ 命をすり減らして
日々を 生きてくから
そんなことも 忘れてしまうくらい
僕は 君との時を ただ 生きていた
遠からず訪れる死を 緩和してくれるのは 他ならぬ君の笑顔だ
ただ あるがままの僕で明日も君とキスをして
つまらないことで 喧嘩なんかしても
すぐに 仲直りしてまたきりもなく キスをして
何度だって 同じように 泣いて笑って
こんな風に 帰り道を 手をつないで歩ければ
幸せになんて いつだってなれるから。