ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 愛の歌

どるとるの部屋


[8541] 愛の歌
詩人:どるとる [投票][編集]


目覚めてから だいぶ経ってから気づいた
僕は昨日 君とさよならをしたことに

テーブルの上の煙草の空き箱とライター
邪魔臭そうに思うのは
今欲しいのは ニコチンじゃないからだ

とりあえず鏡の前で 笑ってはみたけど
何でってくらい 笑えないようになってた

君がいたことで 僕は 失ったものより遥かに
手にしたものの方が多いことを知る

君が最後に流した涙の意味が 今さら
痛いくらいにわかった気がするんだ

でも、君はもう 僕に 笑ってはくれない

駅のプラットホームで電車を待ってる
雨上がりの午後なのにまだ 薄曇り

君が好きだった 歌を 思い出していた
僕には恥ずかしいほどの 愛の歌が
君には どれ程 眩しく 思えたんだろう

君がいなくなってから 苦手だった料理も 洗濯も 出来るようになった

悲しいのは成果を見せる君がいないこと
この世界でただ一人愛すると決めた人よ

今も変わらずあなたは僕の一番だから

背の低い君に 口づけをするときに
屈んだ僕に 君は 背伸びをすりゃ 届くんだからねと ほほを膨らませた
何でもない時間が
今では どれ程 大切だったかを 僕は知る
そんな日が来ることを 出会った頃の僕は知っていたかな
知るはずもないさ

君がいたことで 僕は 失ったものより遥かに
手にしたものの方が多いことを知る

君が最後に流した涙の意味が 今さら
痛いくらいにわかった気がするんだ

でも、君はもう 僕に 笑ってはくれない

だから残された僕が 笑うんだよ
君のぶんまで 生きて。

2016/12/24 (Sat)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -