詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕はアイデアがなくなったらおしまい
万年筆はインクがなくなったらおしまい
小説家として稼げなくなればインクも買うお金がない
だから万年筆はただのプラスチックの塊に過ぎなくなる
僕と万年筆は似たような運命だ
万年筆と僕は日々手をつないで歩いてる
僕が死ねば万年筆も死ぬ
アイデアが僕を突き動かしてるんじゃない
アイデアを生み出すのは僕だ
だから万年筆はそのアイデアにそって描かれる 真っ白な作文用紙の上に世界が出来上がる
描かれるその世界に
小説家はいない
万年筆の影もない
ただアイデアがだらりと にじんだインクのように広がってるだけ
僕は小説家 だけれど万年筆と同じ足並み
アイデアだけが僕を生かしてるわけじゃない
万年筆よ アイデアより活躍してるぞ
ありがとう
インクをまた補充し直して
僕はまたアイデアを生み出し
世界を広げてゆく
開拓するように
ほら 小説家という
名を掲げて
ひっそりとほの暗い
灯りのそば 背中をくの字に曲げて。