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どるとるの部屋


[951] 飛び出す絵本
詩人:どるとる [投票][編集]


絵本から飛び出したような世界

僕はそんな未来を夢見ていた
だけどそれも遠い遠い 昔話だよ

たとえば夜空を流れる星みたいに
ずっと前の光景を
たった今 見ている光景のように見えてしまうように
僕の情熱はもはや風前の灯火で 消えているのさ
昔はそれはそれはバカみたいに夢ばかり見ていたけれど
僕は大人になるにつれ 変わっていった

今も時々 思うのさ
眠れない夜にとか
飛び出す絵本は期待を裏切り飛び出さなかったよ
思い出の中で跡形もなく 燃えて 灰になったのかな

あんなに夢見ていた未来は死んだ

切なさの雨は降る
見えない 触れられないけど 僕にはわかるのさなんとなく

不釣り合いな現実と夢の狭間で抱える痛みと迷いが僕の目を曇らした

飛び出す絵本は飛び出さず ずっと胸の奥底にしまわれたまま
今もずっと ホコリにまみれて

時間だけが 風のように流れてゆくだけで
日に日に切なさが膨らむだけで 僕は何でもないように悲しくないふりをして 笑っている

飛び出さなかったら意味はない 夢を見た分 損をしたも同じ
飛び出す絵本は飛び出さない絵本だから
ただのつまらない絵本だ どこにでも現実に負けた 夢の食べ残し
残飯のように 味気ない未来が手渡されただけ

悲しいよなそうでもないよなこの微妙な感じが若い僕の胸にドストライク
地味に 後から
襲う もどかしさ
それに苛まれているのが今なんだよ

わかるかい?

2010/01/24 (Sun)

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