ホーム > 詩人の部屋 > けむりの部屋 > 自由の代償

けむりの部屋


[46] 自由の代償
詩人:けむり [投票][編集]

かけがえのないひとに愛を与え、
また愛してもらうこと。
それ以上に優先すべきことなどあるものか。
なぜか、
悲しいくらい分かり合えない。
溶け合おうとする二つの心は一色にはまとまらない。
それぞれの過去を歩んできたし、
観る未来像も完全なる一致じゃあない。
それを矯正しようとすれば想いが冷える。
だからさ。
忙しさに弱ったり、
選択に迷ったりするとき、
まず君の存在を尊重する。
君への想いを優先する。
君を失いたくなどまるでないのに、
何者かがつけ込むスキは常にあるから。
せわしない日々の中で危機感を保つこと。
それが愛を持続させる。
そう信じている。
だから君を手放さない。
完全な融合などありえないとわかっているから、
なにをさしおいても君を先んじるんだ。
でも、ちょいと実体験の中でわかっている。
求め続けるから求め続けられたいと思うこと、
それが重荷となって支えてくれる想いすら、
押し潰してしまうことがあること。
とても悲しいことなのだけれど。
笑顔を求める計画性が笑顔をゆがませ、
優しさを欲する相対性が優しさを義務化させる。
いつも愛を深めようと考えている。
けれどそれが君のぼくとの恋愛のスタンスを、
くずすほど息苦しくさせるなら、
ぜひ窒息しちまう前に相談してほしい。
おれとしてはさ、どうしたって失いたくないものを、
失うわけにはいかないからさ。

2005/03/06 (Sun)

前頁] [けむりの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -