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けむりの部屋


[56] 知能の不器用
詩人:けむり [投票][編集]

空の形をした
大きな青い鳥が
今にも飛び立とうとする
鼓舞するように太鼓が鳴る
左胸が
熱く高鳴るのだ
その鼓動が空を刺激する
空は常にある
だが流動は常に起こっている
ぼくの見上げる空は
ゆえにぼくのものでしかない
そして
痛いほど
心臓は締めつけられる
手を伸ばしても届かないものを
あこがれる切なさゆえに
ぼくなどおよばない場所で
空は清浄さを保ち続ける
ぼくはいつも取り残される
草木が季節に開花を合わせるように
ぼくだって空に縛られている
そしてまた空は
あらゆる命の声を聞いて流転する
つまりぼくたちは
共鳴している
季節に縛られた数々の命が空を引っ張り
流れ続ける使命を負った空が命の活動を助長する
だがぼくは
ときに
現状に足止めを喰らう
季節に置いていかれる
そのとき空は
それを悔やむときをすら
立ち止まり
待ってはくれないんだ

2005/04/08 (Fri)

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