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けむりの部屋


[87] 季節があなただけを変える
詩人:けむり [投票][編集]

愛していたか?
愛していた
千度生まれ変わっても想いは薄れないくらい
だけどあなたは壊してしまう
有精卵を壁に投げつけるように
あるいは脱皮途中のセミにライターをあてがうように
あなたは壊してしまう
素敵だった鎖を断ち切って
そしてサヨウナラと言った
まるで火星語でも話すみたいに
あるいは絵画をきたない色で塗りつぶすみたいに
嫌いになったの?
嫌いになったわけじゃないけれど他に好きな人ができたから
そんな火星語をあなたは話す
椅子を蹴り飛ばす
衝突されたシンセサイザーがおどろいて飛び上がる
通話が切れる
すぐにかけ直す
ひどい音がしたから
なれないことをさせたのは誰
悪いと思ってるけれど
季節があなただけを変える
食事がのどを通らなくなりなぐさめにアルコールで頭を満たす
必要なのは1.8リットル800円の安ワイン
あなたはこの体がシリコンと電気コードでできていると思ってたんだ
見つめる目も 愛を唱える口も 吐息を聞く耳も
必要なくなってしまった
ほどなくこの腕は死に神にからみつくだろう
かつてあなたにそうしたように
あなたはどこ?
愛してくれたあなたは
あなたはどこ?
あのまぶしい目をしたあなたは

2007/06/04 (Mon)

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