空が ちぎれて



晒された 雲



水面に 写り



故郷に そよぐ



手に取る 花に



つまる 端声





読み方:端声（ツマゴエ）

瞼の裏に



ふるさとの風



樹海を漂う



昔日の 歌



日向で空は



あくびして

常世に 契る



幼き 睦言



和まる 空に



水泡と 消えた



恋し そなたを



見果つ 時雨れて






読み方:睦言（ムツゴト）和まる（のど）水泡（ミナワ）

夜を見上げた



この空に



群青色した



雨が降る



た走る　御霊に



風は怯えて





読み：た走る（タバシル）

微睡む月の



柔らかな　朝



翠の小庭に



尋め来る風が



出で会ふ　度に



告ぐる　仕合はせ　








※読み

微睡む（マドロ）

翠（ミドリ）

尋め（ト）

言寄す 夜の



透き影に



風と 言問ふ



御空は 高く



か細い 月の



咳が 震えて

波間を 揺れる



子守歌



寝惑ふ 魚



水底に 触れ



碧の碧さに



目が さめる









読み:寝惑ふ（ネマド）　水底（ミナソコ）　碧（アオ）

汚れた海の



涙色



和まる 空と



閑寂の 花



離る そなたに



響む 泣き声






読み方:和まる（ノド）閑寂（カンジャク）離る（サカ）響む（トヨ）

地上を恐れた



鳴る神と



仄見ゆ　月の



漫ろ言



身の後　我の



瞼の裏で









※鳴る神・・・雷

　仄（ホノ）見ゆ・・・かすかに見える。

　漫（スズ）ろ言・

行き交ふ 雲と　



惑わしの 風



穿つ 言の葉



八岐の 歌



野に 散々と



手向く 仕合はせ





読み方:穿つ（ウガ）八岐（ヤチマタ）手向く（タム）仕合はせ（シア）