詩人:Ray | [投票][編集] |
眠れない夜
外を歩く誰かが
口笛を吹いてた
途切れ 途切れ
聞こえてきたメロディーは
確かあなたが
好きだった曲
いつも口ずさんでた
懐かしくて心温まる歌
歌詞が思い出せなくて
一緒に頭を抱えたこともあったね
数え上げたらキリがない
あなたとの思い出
あなたが
好きだった歌も
好きだった店も
好きだったブランドも
好きだった町も
微笑ましいのと同時に
胸が痛い
眠れない夜
腫れた目から
また涙がこぼれ出した
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涙は いくら流しても
枯れないことを知った。
朝目覚めても
ゴハンを食べても
誰かと話しても
何処かに出掛けても
穴の空いた
小さな僕の心は
治ることを知らないんだと わかった。
涙は 枯れない。
僕の地についた足が
小さな花のように
水分を根から補給して
今もこうして
生きていられて、
それが涙に代わっているのなら、
そんなのいらないから
僕が吸収するはずの水分を
どうか
君が受け取ってほしい。
そうして もう一度
肥えて
その身を生き返らせて
また 一緒に
笑おうよ。
僕の涙を いくらでも
君にあげるから。
どうか もう一度
その手に温もりを。
今日もこんなに天気がいいから
きっと
花はよく育つよ。
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生きるってことを
考えた。
食べて 寝て
笑って 泣いて
歩いて 見て
ただ『生きる』ってことについて
考えた。
あたしがいまここにいて
そこは地球で
それを太陽が照らして
そこには空が在って
雨が降って
大地は潤って
また明日を迎える。
あたしがいま
ここで こうして
生きている事実。
ただ『生きる』こと
ただ生きなきゃいけないんだってこと
それだけで
何だって
乗り越えてやろうって
思えた。
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ずっとね
思ってたことがあるよ。
それは いつも曖昧で
答えなんてものは結局
いくら考えても
無かったんだけど
ただ 空を見上げて
今まで楽しかったこと
笑ったこととか
泣いたこと
心には底なんて無いんだって
気付いたときのこと
思い出せば
嬉しくて 哀しくて
悔しくて 恐かったけど
それはいま
全て
ただの『過去』で
いま
ここに生きてるあたしは
すごいんだって
思った。
ずっと 思ってたこと
曖昧だけど
証拠も無いけど
ただの事実
あたしの人生が
いま
ここにあるんだよね。
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真っ白な壁を目の前に
赤と青の
ペンキを渡された。
『好きなように
壁を塗ってみてください』
と言われて
一時間後
僕の目の前にある壁は
思いがけなく
ただ2色
真ん中から真っ二つに
塗られていた。
左は赤
右は青で
その境界線は
触れることなく
白い壁を見せて
はっきりとしていた。
後に聞くと
赤は自分が今抱えている 何かに対する情熱
青はそれを踏まえての
自分が察する現実
だそうで
僕の中の情熱と現実は
同等
だけど
境界線があまりにも
はっきりと在って
現実に立ち向かう気は
さらさら無いんだという
自分がわかった。
あぁ 君はいつだって
手の届く距離にいるのに
一歩踏み出して
近づくことが出来ない僕がいる。
赤と青のペンキが
混ざり合って
統一性の無い紫になる。
そんな美しくない光景は見たくないからといった理由で
触れさせなかったんだ
なんて言ったら
ただの言い訳にしか
聞こえないだろうか。
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ほんのちょっとの
ささいな現実世界の汚さが
ここまで 僕の背中を
押してきた。
残念ながら
僕はそんなふうにして
大人になった。
人生の意味を
育てられることの尊さを
考えてきたことなんて
今まで無かったけど
透明な赤ん坊として
生まれた僕が
こうして 無事見事に
大人に成長した事実。
『大人になんてなりたくない』と
幼いながらに
嘆く子供を見ると
哀しい気持ちになるのは
きっと僕だけじゃないだろう。
世の中を知ることなく
大人の実態を垣間見ることなく
育つことなんて出来ないとは思うけど
本当は 叶うなら
透明なまま、
輝かしい心を持った
大人になりたかった。
子供心を忘れないということは
きっとそういう意味だと思った。
教え育むことが教育なら、
僕は
誰に何を教わり
どんなふうに育まれたんだろう。
自分がこれから
歩んでいく未来の中に
いつだって
光輝く希望が在ってほしいと願うのは
きっと
大人も子供も一緒。
君も僕も
きっと同じなんだろう。
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ある日 小さな小人が
僕のところにやってきて言った。
『ねぇ
どうして大人達は
いつもぎこちなくしてるの?
笑って話してるのに、
仲良しじゃないの?』
僕はぎくっとした。
小人はいつだって
人間のいろんな部分を
よく見ている。
『これから仲良しになるんだよ。
だからまだ今はみんなぎこちないんだ。』
僕は答えた。
『…ずっと一緒にいてもずっとぎこちなくしてる人間もいるよ?』
とさらに鋭く問う小人に
僕は重ねて
『そういうことってないかい?』
と尋ね返した。
すると小人は笑って
『僕らの世界では
みんながみんな、
誰に対しても
“ありがとうの気持ち” を持ってる。
だからぎこちなくなることなんて絶対ないよ!』
頭が真っ白になって
何も言葉が出ない僕に
小人は
『人間の大人達には
“ありがとうの気持ち”を持ってない心が多いんだね。』
『…そんな大人達を
どう思う?』
おそるおそる、僕は聞いた。
『かわいそう。』
そう言って、
泣きそうな顔を見せながら
小人は去っていった。
あぁ、また一人、
人間の世界を哀れむ小人が増えてしまった、と、
落ち込みつつも
僕は
ぎこちない大人達の
集団の中にまた紛れ込んだ。
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いつもは好んでかけてる大好きな曲も
今日はなんだかうるさくて
電源を切って
部屋を真っ暗にした。
あたしの心の中が
異常な程に
ざわざわざわざわ
してるから。
何も考えられなくて
何が出来るかわからなくて
ぐちゃぐちゃだった。
あたしは恋をしたの?
いや、そんなことない。
じゃぁこの内の騒がしさは何だろう?
こんな夜は 初めてで
静かにしたい夜も
何も手に付かない夜も
初めてで
そんな自分に
さらに動揺する。
誰に会いたいでも
誰に伝えたいでもない。
あたしは 今
自分の気持ちと
出会いたい。
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ミッキーの中には
人間が入ってるんだって。
そんなこと百も承知だけど
改まって聞かされると
なんだかつまんないよ。
夢を失いたくなくて
いつも笑ってたくて
ただはしゃいで
楽しく毎日を送っていたいと思うことが
そんなにいけないことですか?
『いい加減大人になりなさいよ』
だなんて
そんな忠告、
何の為にもならないよ。
誰よりも自分が一番わかってることを
他人に言われるときほど
痛い傷を負うときはないと思う。
現実世界は
こんなにも厳しいんだね。
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ケータイのボタンを押して
羅列された文字で
向こうの心の真ん中まで
伝えられる言葉なんて
絶対無いんだろなって
思った。
こんな 人間の付属品が
発達するまでは
みんな 声で
ちゃんとした
口から出る言葉で
伝えてたんだから
あたしたちにも
出来ないはずがない
それなのに
文字にばっか
躍らされて
話すことを忘れる
会うことを忘れる
待ち合わせ場所で
待つことを忘れる
ケータイなんて無かったら
誰だって いつも
一人きりなのに
孤独を恐れる
繋がりを求める
メールが返ってこないと嘆くあの娘。
ただの羅列された文字に嬉しくなって
はしゃぐあの娘。
あぁ なんて
悲しい現代の
こどもたち。