詩人:Ray | [投票][編集] |
今夜は月がめちゃくちゃ綺麗だよ って言われて
どんなもんかと思って
外へ出て月を探しに行った。
でも
僕には月を見つけられなくて
あぁ、やっぱり。と思ってしばらくそこに立っていた。
綺麗な月を見たかったのは確かだけど
そんな月を見るのが恐かったのも、事実。
神秘的なものに僕が与えられるのは
癒しではなく
空虚感だから。
月が放つ繊細な光に
きっと僕の影は
よりいっそう
その濃さを増してしまうだろう。
世の神秘をいつまでも追い求めたいと人は願う。
綺麗であれば綺麗である程、その神秘は絶賛される。
そんなことはいくらでも有り得るのに、
何故だろう
僕には哀しくてたまらない。
今夜 月を見つけられなかった僕。
それがもし運命と呼ばれるなら、
それこそが世の神秘であると、僕は考えた。
涙がこぼれた。
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もし 僕が本当に病気だとしたら
それを『弱み』に
僕はいっそう弱くなるだろう。
小さくうずくまって
大きく震えて
目は光を失う。
「寂しい」のはわかった。でも
どうしたらいいのかは
わからない。
多くのことを教わった。世界には
もっと想像を絶する程の光があることを知った。でも
どうしたらいいのかは
わかれない。
たくさん
目が腫れ上がるほど
泣いたよ。
それでも
だからといって
その次に笑えるかといったら
それはわからないんだ。
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『そうか。君は
寂しかったんだね?
だからそんなふうに
笑うんだね?』
笑顔が可愛いと言われた
だから
ずっと笑っていたほうがいいんだと思った。
曇り空を見ると
雨が降るんじゃないかとみんな心配する。
晴れていれば
何も思うことなく
人は外を歩けるんだ。
どうしたの?って
言われるのが怖くて
腫れた目をごまかすように笑った。
みんなの前で
いつもどおり
バカみたいにはしゃいだ。
そんな一日、
なんでもない、ただの死へのカウントダウンでしかない今日の一日。
まるでロボットのような固められた僕に
ただの なんでもない、
君の一言。
『そうか。君は
とても弱いんだね?
そんなに弱くって
どうしてそんなに笑えるんだよ。』
人前で泣くのを怖がった
僕の病気を悟られるのが怖くて。
『寂しいんだろ?
辛いんだろ?
なぁ そういうのは
隠さなくていいんだよ。
誰だって
“自分が一番大事”で
それでいいんだよ。』
久しぶりに温もりに出会った。
まるで心の傷が癒されるようで
大親友の僕の涙は
久しぶりに
温かかった。
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ねぇ たとえば
あなたの心がもし本当に汚れていて
トゲトゲしいものであったなら
あなたの周りの人は
きっと今そこにはいないことになるよ
恋は恐いと、あなたは言った
誰だって自分が一番大事なんだよね、とあなたは言った
あなたがあの人を想う気持ち、
あの子があの人を想う気持ちに、
大小も勝ち負けもない
恋はきっとどんな偉大な心理学者でも
解明できないもの
何億年かけても色がわからないもの
方向なんか無くたっていい
恋に潜む自分の心が全く解らなくたっていい
ただね
自分を責め立てることだけはやめてほしい
あの子の気持ちと
あの人への想い
そこにかかわる
あなたの不可解な気持ち
それを考えるだけの優しさが
あなたには十分に備えられてるってことに
どうか気づいてほしい
あの日理由もわからず
流した涙が
確かな証拠だよ
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赤い靴を探してた
ここにきて最初に預けた
僕の赤い靴
「赤い」靴はいくらだってそこにあるのに
「僕だけの」赤い靴が
どうにも見つからなくて
預けた先の係のひとに
一生懸命探してもらった
だけどやっぱり
僕の口から出るのは
『ちがう』の一言。
どうして無いんだろう
あぁ何で目印になる札の一つや二つ付けておかなかったのだろう
焦りと共に溢れ出す哀しみ
あの靴じゃなきゃだめなんだ
どんな高価な
綺麗な赤い靴だって
僕だけの赤い靴じゃなきゃ意味が無いんだ
そうしてずっと探し続けた
だけどやっぱりどこにも無くて
首を横に振り続ける僕に
そのひとはとうとう嫌気がさして
『ありません』と一言
僕に投げつけた
無いものは無いんだ。
消えたわけないのに
どこかに絶対あるはずなのに
仕方がないと
涙をこぼしながら
裸足のまま
僕は外に出た
勘違いもはなはだしい。
僕が今朝履いてきたのは紛れもなく
ピンクのスニーカーだった。
そのことに気が付いたのは
家の下駄箱に大事にしまってある
僕だけの赤い靴をみたときだった。
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どうやったら救われるのか自分でも知り得ないのに
話を聴いてもらおうとは思わない
だけど
きっとどこかに名前があるはずなんだ
ため息まじりに『困る』と言われて
さらに傷が増えたのは
間違いない
誰もが皆
そうなんだと思ってた僕は
自分の「異常さ」に気付いてショックを受けた
僕の身体の周りには
目には見えない悪魔が
四六時中漂って
とり憑いている
幸せなど
信じられなくなった
そう まるで
彼が謳う哀れな言葉が
僕自身を表しているんじゃないかと思うほどに
ギシギシと音を立てて
魂が傷む
笑顔にもいつか寿命が訪れるのではないかと疑う
明らかに心は縮小しているのを実感する
それでも笑い
青を隠す僕の
名前を当てようと騒ぎ立てる輩
多くの名前を候補に挙げられて
僕に提供する
たとえ
どんなに一致したって
僕が喜べるはずがないだろうことを
彼らは知っているのだろうか
心配する言葉なんていらない
どうしたら救われるかなんて
僕も知らない
ただ
名前を知らないでいることが
今の僕にとって
唯一の救いであるのかもしれない。
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『それは我慢なの?
それとも…』
夜だけが救いだった。
僕は
独りぼっちを誰より一番嫌うくせに
静寂と冷たく平らな空気を持つ夜を好んだ。
人を温かく包み込む空気に憧れて
それを望んでいるのは確かだ
けど
その空気が怖くて仕方がない。
夜よりも敏感で弱くて
小さなキッカケで
パリンッと
壊れてしまいそうで
僕には不向きだと
分かってしまった。
時を重ねれば重ねる程
強くなるはずの心は
日に日にガラスを掻き集め
やがて引き伸ばし
実に希薄なモノと成った。
『…それは…』
言うなと 思った。
救われるだろう詞は知り得ないけど
壊されるだろう詞は、
知ってるんだ。
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優しく成ろうと考えれば誰だって成れるはずなんだ。
『優しさは難しい事じゃない
むしろ
厳しさよりずっと簡単だよ。
嘘で覆われた優しさを
さらけ出すには勇気が要るよ。
君には それが
出来るかい?』
馬鹿にされたわけではない。
ただ
涙で培ってきた「思いやり」が 僕にやさしく
微笑んだ。
いつからか
壁が出来た。
『優しいね』と啓示される度
守ってきたものが傷つけられ
防御策としてのソレは
より一層増長された。
涙を流せば
ソレはまた非難される。
『安易なほうへ逃げてきて だから
そうなったわけじゃないんだ。』
信じてくれ と続けようとして
目を逸らした。
そんな言葉で報われると思うほど
簡単な事ではないと
僕は知ってたから。
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そんなふうにして
いつだって僕の頭の中は
その言葉でいっぱいなんだ。
もうすぐ春がくるね、
なんて
笑えるはずもなく
僕は身が凍り付くほどの気持ちのまま
きっと春を迎える。
今はまだ冬だから
走れば春に追いつけるだろうことは
僕だってわかってる。
だけど足は走ることを知らないのか
構える姿勢すらとろうともしない。
目は開かないし
いっそこのまま
どこかでずっと
眠りについていられたらと
願うほどだ。
どんな人間に
そんなこと言う必要があるんだよ って
正義感なのか偽善なのか
叫ぶひとがいるけど
僕は知ってるよ。
確かに居るよ。
そういう人間は
他人に言われるまでもなく
ちゃんと自分でわかってるんだよ。
その中の一人が
きっと僕だ。
そんなはずはないって
今まで頑張ってきたけど
もう無理だ。
確かにそうだ。
明日は雪が降るらしい。
それでも僕は
寒さに凍えないように
しっかり毛布にくるまって
今夜も床に就く。
そうなると
また別の言葉が頭をよぎる。
『やっぱりね』って。
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ピエロみたいになりたいと君は言った
『いつでも笑っていられるから』って
そう言った君の笑顔は
とても寂しそうだったこと
僕は気付いてたよ
感情に振り回されて
時間に怯えて
言葉に翻弄される
そんな僕らは
窮屈で空虚で
心はいつも無愛想だ
けど僕は だからって
ピエロになりたいとは
思わないよ
何を想うことなく
言葉にも邪魔されない
ただ平坦な日常
そんなふうにして
「僕」を終えるのは
嫌だ
君が もしピエロになったなら
僕はピエロにこう言うよ
『君の涙が見たい。』