詩人:Ray | [投票][編集] |
赤い靴を探してた
ここにきて最初に預けた
僕の赤い靴
「赤い」靴はいくらだってそこにあるのに
「僕だけの」赤い靴が
どうにも見つからなくて
預けた先の係のひとに
一生懸命探してもらった
だけどやっぱり
僕の口から出るのは
『ちがう』の一言。
どうして無いんだろう
あぁ何で目印になる札の一つや二つ付けておかなかったのだろう
焦りと共に溢れ出す哀しみ
あの靴じゃなきゃだめなんだ
どんな高価な
綺麗な赤い靴だって
僕だけの赤い靴じゃなきゃ意味が無いんだ
そうしてずっと探し続けた
だけどやっぱりどこにも無くて
首を横に振り続ける僕に
そのひとはとうとう嫌気がさして
『ありません』と一言
僕に投げつけた
無いものは無いんだ。
消えたわけないのに
どこかに絶対あるはずなのに
仕方がないと
涙をこぼしながら
裸足のまま
僕は外に出た
勘違いもはなはだしい。
僕が今朝履いてきたのは紛れもなく
ピンクのスニーカーだった。
そのことに気が付いたのは
家の下駄箱に大事にしまってある
僕だけの赤い靴をみたときだった。