詩人:Ray | [投票][編集] |
あたたかくて
切ない。
春をこえた
タンポポが
綿毛を身にまとい
少しずつ
少しずつ
ただ
ひたすらに風を待って
身を
軽くしていく。
最後のひとつが
なくなるまで
タンポポは
ずっと
春を感じたまま
ずっと
そこにいる。
ただ
ひたすらに風を待って
自分から
手放すことなんか
できないで
ただ
ずっと
風を待って
そこにいる。
あなたの隣で
あたしはいつも
そんなかんじ。
ただ
ひたすらに風を待って
「あなた」が
あたしのなかから
なくなるまで
ずっと
ここにいる。
自分からは
なにも
できないで
ただ
ひたすらに
あなたの隣で
風を待つ。
いつか
綿毛が
すべてなくなって
身が軽くなったタンポポが
次の春にも
また
元気いっぱい
咲けるように。
秋をこえて
冬をしのいで
春になったら
また
元気いっぱい
笑えるように。