詩人:Ray | [投票][編集] |
世界に光が見えた。
僕はただ
生きる価値のない人間でいて
ずっと 暗闇の中にいた
そこへ 君が現れて
『そんなことないよ』って涙を流すから
僕は戸惑って
ただ 本能のままに
君を抱いた
いつも君は
涙を流しながら
抱き締めてくれて
真っ直ぐに 僕を愛してくれた
僕には 君しか見えなくて
ずっとずっと 君しか見ていなくて
「自分」の存在を示してくれるのは
「君」だけなんだって
ただ一方的に確信していたんだ
愛でも何でもなく
「君がいるから僕がいる」。
僕にとって君は
「存在理由」で
僕のすべてだった
そうしていつしか出会ったあいつ。
あいつは 君とはまるで逆で
『何やってんの』って
笑って
僕の手を引いた
抱き締めることもなく
ただただ 笑って
背中を押してくれたんだ
そうやって 見た世界は
「君」以外の風景は
なんだかとても 輝いて見えて
何かに気付かされたように
僕は 君のいない世界に飛び出した
あいつは いつだって
僕の一つ隣に居て
笑顔で 僕を見守っていてくれた
世界に光が見えた。
僕は この世界に
「自分」が確かに存在する証を
自分の手で
見付けだしたいと
強く思った
そんな僕に 君は
やっぱりまた涙を流しながら
さよならを言ったね。
そして最後に笑ったんだ
初めて見た 君の笑顔
僕はその笑顔を見た瞬間
『ありがとう』の言葉と一緒に
涙がこぼれた。
いつも 笑顔だったあいつも
僕の後ろで
泣いていた。