詩人:十何 | [投票][編集] |
あいつはよく気が利くやつさ
いつも先回りして、人をいらいらさせない
常に理解の手を自分から差し出す
きっと独りのときでも
冬は唇をひと回り舐めてから欠伸をし
家に着く数メートル手前ではもうカギを握りしめてるんだろう
でも、近ごろ気にしすぎじゃないか?
そんなにうまく立回ろうとしなくたって、
誰も嫌いやしない。
少なくとも俺はな。
詩人:十何 | [投票][編集] |
彼は恐るべき人だ 心得ている
彼は恐るべき人だ 見抜いている
彼は恐るべき人だ 貫いている
彼は恐るべき人だ 悪を断じ裁く
しかしそんな彼にも悩みがあるらしい
詩人:十何 | [投票][編集] |
心が流れ込んでゆく
真っ暗闇な深層意識の岩壁を縫って
真っ赤な脈打つ心臓から勢い込んでやって来た紅い雫の群れ
滴りは奔流となって黒い岩肌を湧き出
そして流れ込んでゆく
あなたは知りはしないが
その無防備な表情に
目を上げる時の仕草に
コートを抱えた長い後ろ髪に
あなたのそのいつものスタイルに
心が流れ込み
ついにはときめきが滑り込む
詩人:十何 | [投票][編集] |
お前の話なんかに興味はない
くだらない話なんかに興味はない
お前が何でもない日常の積み重ねの集合であることはよく分かった
お前の話を聞き流している時よく思い出すことがある
[哲学者先生、私の話はあなたを疲れさせてしまったかね?]
[とんでもない、私は聴いていなかったのだから]