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灰色の部屋


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詩人:灰色 [投票][編集]

つまらなくてくだらなくてでも手放すのは怖い日々がある。
手放す勇気も、逃げ切る勇気もない。
たとえば、嘘を吐けるようになることが大人になるということだというのなら。たとえば、盲目的なまでの愚直さだとか自由だとかが若さの特権だというのなら。
それならおれたちは馬鹿らしい若い自由は上手な嘘という等価と交換して生きていくのだ。
だっておれは上手に自分達を、世界を欺ける嘘が欲しい。
たとえば、昔の偉い大人が言うんだ。自分を愛せだとか他人を愛せだとか本音だとか全てが報われるような美しい愚直な話を。
嗚呼!馬鹿馬鹿しい!
馬鹿馬鹿しいと思うことが、もう既に退屈だというのに。
それを他人に告げることが更に退屈で馬鹿らしくて、なのに虚像を自慢するかのようにおれは馬鹿馬鹿しい嘘が吐けない。真実と事実の区別さえつかないのに一体何が正解だというのだろう。
背伸びをしたいのに常識と良識が全力でブレーキをかけている。青々しい自尊心が抉れていくのに自分にやさしい上手な嘘を吐いて誤魔化すこともできなくて!
嗚呼!
やさしいやさしい嘘が欲しいんだ。

2011/10/05 (Wed)

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