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壬治の部屋


[56] めくるめく日常
詩人:壬治 [投票][編集]

味見もしないままで
こうして溶けていくのかしらと
不可思議なうわごとに
ぼくは眠りを邪魔された

窓の外にぼんやりと
恋人たちの素敵な時間

なんとなく届きそうな
でも無理めな感じの
そんな切ない距離感...

この世界はめくるめく。
誰にとっても美しいのかしらと
取り憑かれたように彼女
叫んで全部ひび割れた

見たくもないのに視えてしまった
知りたくもないのに
識ってしまった

ぼくは...

夜空を埋めつくすほどの
悲しみであの星は
よりいっそう強く
光り輝いてみえるから

いつかの光を届けるために...
いつかの想いを叶えるために...

喧騒の中でもきっと
眼を閉じればまたスリップ

踊り疲れて眠るような
ゆうべの二人の
目まぐるしい痛み

幸福の鮮やかさを
思い出したいだけだよ
窓の外にぼんやりと
思い描いた未来を夢見た

よそ見しないで
もうすぐ来るはずだよ
背伸びするより
ありのままの弱さ抱いていたい




2015/07/04 (Sat)

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