スマイルの部屋
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[86] 傷み
自分でつけた傷も
誰かがつけた傷も
傷であることに違いはなかった
同じように痛むのだ
浅かろうが
深かろうが
2011/02/01 (Tue)
[87] ゆっくりと
気付いていた
長袖に隠された古傷も
泣き顔が刻んだ皺も
抗鬱剤の入れ物も
それでも笑う君に
私は何も言えない
強くなりつつある君に
言葉などいらない
2011/02/02 (Wed)
[88] 抱擁
君のことが好きだから
君の生きるこの世界で
生きていたいと思えた
吐息が零れるほど
声が漏れるほど
強く強く抱き締めたい
いつだったか……
誰かが私に、そうしたように
2011/02/02 (Wed)
[89] 雪化粧-短歌
薄化粧
貴女の長い
睫毛にも
積もる雪粒
落とした雫
AIKU110213
2011/02/12 (Sat)
[90] 少年期
大衆の中で孤独を感じ
誰より自分と会話した
子供心に家庭を嫌い
愛さぬ努力に明け暮れた
探し歩く夜の街
夢よりも友よりも
生まれた意味を
無くしたはずの宝箱を
2011/02/16 (Wed)
[91] 白煙
遠い街の白煙は
君を探す道標
雨が降れば忘れゆく人よ
今はお前の為に泣く
雨で隠した涙と共に
涙に込めた記憶と共に
2011/02/16 (Wed)
[92] 我慢
距離や行き先も
思想や強さも
それ自体に意味はない
私が悲しめば
きっと貴女も悲しむ
泣かない理由なんて
きっとそれだけ
2011/02/17 (Thu)
[93] 欲望
抱いた人は愛する人
優しさに甘え
気遣いに気付く
罪悪感に溺れ
眠れぬ夜は更ける
愛の濃度が増す度に
愛は重みを失った
2011/06/17 (Fri)
[94] 棒銀
上がりの昼下がり
青い座椅子の中央に
使い古した盤を敷く
父は穴熊、私は棒銀
窪んだ瞳の先にある
前のめりの銀将に
父は深く息を吐き
「羨ましい」と
言葉を漏らす
駒に模する人の背に
雨滴に模する涙が落ちた
2011/06/24 (Fri)
[95] 浄化と充電
重なり合えば音もない
熱も匂いもない
過去も未来もない
この時を感じ
貴女を感じる
心の膿は流れ落ち
私は人間になれる
2011/06/24 (Fri)
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