詩人:かし | [投票][編集] |
冬が来て
夜が寒くなっても
布団の中では
靴下は履かない
例え
いくつ歳をとっても
ぬくぬくの布団に入る
どうしよう
今日の晩御飯
こうしよう
あなたが勝ったら
温かいシチュー
ねぇ
繋いでいても
冷たいよ
そんなのは
どうしようもないから
はやくお家に帰ろう
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随分と前に
ノートに書いた詩
今でもたくさん残っている
そうではない
消してしまった詩
あんなのもあった
こんなのもあった
あやふやな記憶のもの
手繰り寄せるのも楽しい
ノートに書いたものは
滅多に消したりはしない
だからこれからは
消してしまわないように
ノートに書いていこう
あやふやな記憶で
振り替えるのは楽しいから
忘れたことを覚えていて
それが何か感じるヒントに
なってくれそうな気がするから
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大盤振る舞いなあなた
早い者勝ちで決めるのと言ったのに
欲しい人にもれなくあげる
あなたにだけ話しておきます
八百ものでたらめを作り
メモ帳で管理している
だから二十面相もびっくりなあなた
それが一枚の大きな仮面
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感情を表せば表すほどに
より感情が豊かになる
そう考えている
私は感情を表すのがもったいなくて
今日の分を明日に持ち越してしまう
それでは感情を豊かにすることが
出来ないのではないか
けれど感情が表に出ない状態を
維持するのも大変なものだ
よいわるいを自分が決めていいものなら
私は私にあったものを選ぼう
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手が冷たくて目線を下げたその向こうに
あなたが歩いてくる
いつも気付けばよかったと
後になって思ってしまうから
これだけ道が広ければ
それだけ見違えることだろう
それだけ離れているのだろうか
どこまで歩いて行くのか知らずにいる
振り向けば小さくなる背中を追える
まだ間に合わないことはない
けれど走り出す勇気がなくて
あの扉を開けてしまった後だから
指先がまた冷えてしまうのを
怖がってしまっている
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誰かにそう思われたから
私は熱を奪われてしまうのだろうか
自分の、他人のなんてことない行動が
閉ざした扉に光をあてる
皮を撫でてゆくだけの風が
私の身体をすり抜けて
心を奪い去って行く
何も考えることが出来なくなる
ぽっかりと穴が空き
私は沈んで行く
分かっているんじゃないんだろうか
誰かがお前に傷付いて
そして消え去ってしまえばいいって
そう思ったことも
理由は自分の及ぶところではないことも
うなされて汗をかいて
目を開ければ光る星が眩しくて
誰か遠ざけてくれないか
もう閉めきって空は
青色が滲んで境界をなくしてゆく
風はもう吹くことはない
もう奪われる熱すらない
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張りつめて張りつめて
最後に言った一言で
こんなに縛られるなら
しぼんでってしぼんでって
最初に言った一言を
なかったことにすればいい
悲しいことを悲しいと言えないなら
幸せなときにいつも笑顔でいて
怒るときは頬を膨らませて
楽しいときに楽しいと言って
素直な気持ちが言えないなら
変わらず気のない素振りをして
どこかひとつに気付けば
あとは分かってあげられるから
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誰の涙かなんて
誰も知らないはず
誰かの涙が流れたって
誰しもが知っているはず
そんなもんだよ
飲み込める自分がいてよかった
なんでなんだよ
物分かりいいのがなんか腹立たしかった
意味のない仮定で
今の足場を見失いそうになる
いつかは慣れるのだろうか