詩人:かし | [投票][編集] |
思い出せる一番古い記憶は
自分の手が不思議だったこと
何故思い通りに動くのか
こいつは一体なんなんだ
それが思い出せる一番古い記憶
今まで一度も離れたことがない
裏切られたこともない
僕のため
僕だけのため
自分で自分を裏切ること
今までたくさんあった
でもこの手はいつも僕の味方
この手は何
この手は僕の手
僕は手なのか
僕も手も僕
僕は何
僕と手で僕
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想像したものは現実のものではない
写真は風景を切り取ったわけではない
それなら何故
あんなに悲惨だと思うのか
それでも何故
すぐに忘れてしまうのかだろうか
あの時のこと
多分、いや確実に言える
あの人は私を知らなかったはずだ
男で、女で
ありふれた、珍しい名前の
この私、あの人が
「死んでしまえ」と思われたのは
ただひとつ、私達がそうであったから
写真や語り
なにもなければ想像はいらない
それを憤る人もいないのならば
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きょうが『あなた』のたんじょうび
生まれ変わった『あなた』
きっと大丈夫
『あなた』は良いことをした
良い人になった
だから祝おう
新たな門出を
これから『あなた』が幸せになることを
あなたはきっと良い人
あなたが邪魔だった私のまえから
消えてくれたあなた
おめでとう
『あなた』の幸せを祈ってます
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通り雨は過ぎて行く
この肌を何処かへ引くように
それは変わらないものなのです
去っていくことも寂しくはない
ただ、ただ悲しいのです
思い馳せ
夜の闇に飛ばすのは変わりません
人はいつまでもそこにいるのですね
ちょうどいい
真ん中を歩くのが難しい
生まれた時に生き
死んだときに死ぬ
もう少しだけ片寄ってください
雨は丸くとも
涙は丸い
手を伸ばしても届かなくても
膝折れば触れあえる
やはり過ぎて行く
確実に小さくなって
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鼻唄を流し気分を乗せて
自転車に乗って通りすぎる間に
楽しそうな声が聞こえる
一緒かどうかなんて誰も
降り注ぐ陽も気にしてない
犯人はあなたです
桜の木の下の木下さんも
ゾンビダンスを踏もうとしてる
よろけてころんで
目に入る若葉をひとつまみ
ブドウがありますように
スーパーに寄っていかないと
そう思って携帯を探しても
何故だか見つからない
戻るのも面倒で
振り返らずに走り出した
そうして家に着く頃には気付いていた
鯨幕で飾り付けていたのが悲しくて
もうさようならなのか
本当に本当なのか
絶対に変わらないのか
そうなんだ
明日は僕には来ないのか
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もちろん私が責任をもってしてます
確かに味付けはよくないとは思いますが
でも見た目に反するよりはいいでしょう
使ったら元の場所になおしておいてよ
わかりました
戻しておいて、これでいいんでしょ
まだ時間かかりそうなのかい
じゃあ僕も手伝うよ
いや、そんなこと思ってはいないさ
本当さ、ほら早く終わらせてしまおう
存外しつこいな君も
ペースが遅いことに関しては
特になんの感情も抱いていないよ
嫌々?
いやいや
い〜や
嫌
あなただけに話すよ
みんなが気を付けなければならないこと
僕とあなたのふたりの秘密
他の人に言ってもいいよ
たぶん誰かと君の秘密が増える
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いつの間にかこんなにもたくさん
僕には綱が結ばれてる
特にこの腰には数えきれないほど
昔の話は思い出になり
前へ進むのを邪魔する
しゅびだばどぅ
たらったんだっだっだん
全部ひっくるめて台車に乗せてしまえば
ひと押しで楽になるのも
間違っちゃない気もする間違いな気がして
でも取りには戻れない
ここからは小さく見えるから
しゅびどぅびどぅ
るららしゃらららん
なおさら何に対して
一層何に対して
輝く
魅力的になる
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チョリソーなんてものを知っているから
このソーセージもあのソーセージも
チョリソーチョリソー言ってしまうんだ
だいたい名前で判断すると
チョリソーなんてのは
ノコギリの仲間だ
ノコギリは虫だ
虫なんて無視だ
ああ世知辛い
チョリソーを食べたばかりに
何故チョリソーを辛くした
更新料なんていらないんだ
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はじめましてがあまり好きじゃなかった
珍しいなんて
本人を目の前にはあまり言わない
そんな気遣いも煩わしい
気遣いないのも不愉快だ
そんなひねくれた人間に育った
最近はもう
はじめましてはあまりない
もうひねくれてすらいない
なにもない
猫を飼ってみた
そこそこなついたかと思えば
帰ってくることはなくなった
料理をするようにした
楽だからと喜んでくれた
料理はやめて
洗濯や掃除をすることにした
草野球もギターもジオラマも
どれもこれも長続きしない
もうそろそろ五十だ