想像したものは現実のものではない写真は風景を切り取ったわけではないそれなら何故あんなに悲惨だと思うのかそれでも何故すぐに忘れてしまうのかだろうかあの時のこと多分、いや確実に言えるあの人は私を知らなかったはずだ男で、女でありふれた、珍しい名前のこの私、あの人が「死んでしまえ」と思われたのはただひとつ、私達がそうであったから写真や語りなにもなければ想像はいらないそれを憤る人もいないのならば
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