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はちざえもんの部屋


[75] パンドラ
詩人:はちざえもん [投票][編集]

誰も知らない 昔の話をしよう あの日、夏草の揺れる小麦畑で 血塗れのピエロを捕まえた時から 全てが変わってしまった
穏やかだった景色も 豊かな小麦畑も 僕らを暖かく包んでいてくれた故郷も そこに住まう人間も
どうか理解して欲しい 何も知らなかったなんて言い訳にもならないけど 確かにここ生きていて この場所で幾つもの思いを共有していた

こうして赤い夕焼けを眺めていると 血塗れのピエロを追いかけて 最後に伸ばした右手の感覚が 思い起こされてならない
幼さゆえの過ちなのか 償いきれない罪なのか 機械仕掛けの夢が 崩れてゆく感覚を あの時から今までずっと 味わっている

僕の捕まえた血塗れのピエロは 決して触れてはならない元凶だった 全てが崩れた場所に一人 残されたのは境界を侵した僕だけで
あれほど満たされて尚、何を欲していたのだろうか? 苛まれる罪の意識が きっと僕の贖罪の手段


こうして戻りはしない日々を思うと 人の世の無常を思うの 全てはあの日、血塗れのピエロ 決して覗き見てはならないものだった
こうして荒野を見渡していると この土地の豊かだった過去を感じるの きっと触れてはならないものだった だから語りべは今日も謡う 過ぎし日々の苛まれし罪と罰

2007/07/06 (Fri)

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