詩人:halcyon | [投票][編集] |
あなたが、いなくなった
呼吸をするのをやめて
冷たく硬くなり
花に囲まれ
煙になって空に溶けた
ほんの少しの
まっしろな、骨を残して
わたしはただただそれを
瞬きもしないで
じっと見つめていた
そうやってどんどんあなたがいなくなってゆくのを
止めることはわたしには
できなかったからせめて
そう、せめて一つも見逃さないようにと
ぎゅっと噛んでいたくちびるが裂けて口紅を塗ったように赤くなっていた
舐めるとちり、
と鈍い痛みが走る
あなたの前ではのせたこともないようなその赤は
窓にうつるわたしに
皮肉にもよく似合っていた黒いワンピースの袖で
その赤を乱暴に拭って
赤い口紅はこれから先何があっても塗らないと決めた
夜
眠れるわけもなく
誰もいない道路
ひたすら車を走らせた
ふと開けた助手席のダッシュボードから白い封筒がひとつ
闇にぼんやりと光るそれからはあなたの煙草の匂いがした
「僕がいなくても
わらってよ」
確かに声が聞こえた
あなたのあのやさしい字でたったひとこと
便箋の上だけじゃなかった
涙が溢れた
目を閉じるとそこには
あなたがいた
それはきっとこれからもずっと
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わたし、わかってたよ。
ちゃんと。
「すき」だとか
「愛してる」だけじゃなく
みんなみんなみーんな、
照れたって真っすぐで
いることが大事だって。
でも、だめなんだね。
大事なことわかってても
だめなんだ。
わたしとあなたには、
ほんとにもう何も
なくなっちゃったから。
つなぎとめておくものが
全部ほどけて、
なくなっちゃった。
悲しいな。
恋のおわりは悲しいよ。
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あいつに
抱きしめられたとき
違う、っておもった
他の誰にされても
それはきっとそう
わたし、あなたじゃなきゃもうだめなんだ
付き合うとか
みんなみんな初めてで
怖くて分かんなくなって
逃げちゃったけど
手を繋ぐのも
抱きしめられるのも
あなたじゃないといやだよだから他の子のとこに
なんか行かないで
あなたの隣はわたしがいいちゃんと向き合うから
もう逃げないよ
だからおねがい
あたしを拒まないで
人間としても彼女としてもだめなわたしだけど
いっぱいがんばるから
あなたが安心できるように
「だから、きらいに、ならないで」
「おまえのこと、嫌いになんかなんない、絶対に」
ふっと顔が近づいて
あなたの匂いが濃くなる
唇にふれる柔らかい感覚
髪をくしゃりと撫でる手
額が重なる距離で
あなたがわたしを
見つめている
焦らなくても大丈夫
ゆっくり、一緒にいよう?
耳元で囁かれたその言葉にふわりと空気が揺れた
背中を撫でる大きな掌が
ととも心地よかった
泣きながら笑ったら
ぐしゃぐしゃの顔になった声が出なくて
こくんと頷くと
背中にまわった
あなたの腕の力が
もっとずっと強くなった
「好きだよ、本当に」
わたしがあなたをすきで
あなたがわたしを
すきになってくれて
本当によかっとおもった
涙がとまらなかった
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くま、ひどいよ
コンシーラーでも隠しきれてないんじゃない?
そして痩せすぎ
わたしより細いよ、絶対
そのうちぽきって
折れちゃったりして
ご飯ちゃんと食べてる?
睡眠とれてる?
倒れたりしないでね
お願いだから
会えなくて、でも会っても面と向かって言えないからテレビに向かって
こっそり呟いた。
0時3分を時計が指す。
もうずっと鳴らない携帯をベッドに投げた。
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明日死ぬかもしれないのに勉強ばっかしたって
意味ないじゃん
ふと思いペンが止まった。教科書を投げ出して
街へ飛び出す。
映画館、雑貨屋、カフェ。洋楽がかかる
お気に入りのショップ。
ドレープの奥、鏡に写る自分と目が合った。
ぽろり、涙が零れ落ちる。試着した綺麗なビロードのワンピースを握りしめ
奥歯を噛み締めた。
こんな中途半端なあたしにちゃんと輝いた
未来なんか来ない。
分かってる、そんなこと。だって、もう、
開いたままのノートに
流れる英文の続きすら
思い出せない。
勉強以外に生きるヒントを誰か、教えてくれないかなとおもった。
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あなたとの毎日
ちょっとづつ
いろんなことが
積み重なっていく
あの時のキス
今日握りしめたてのひら
いつか包まった
さらさらのシーツ
今抱いているあなたの枕
みんな違うけれど
同じくらい幸せ
ありがとう
だいすきだよ
おやすみなさい
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っ、す、すきっ!
うわー言っちゃった!
言っちゃったよわたし!
てゆーかなんで今このタイミングで言っちゃうかなわたし!うわあああどうしようなかったことにとか…
無理かー!すごいこっち
見てるもんね!視線ぶつかりまくりだよ!しかもみんなも見てるし!って、え!みんな!?なんでいるのって今掃除中だったー!
そしてあれだよ、ここは
教室のど真ん中だもんね!しょうがないっか!
うわーん顔があついいい!
「…ねえ、すきって俺のこと?」
「…う、ん(はわわわ!)」
「そっか。あんた、
俺のことすきなのかー」
「そ、そう!
わたし、あなた、すき!」
「はは、なんで片言?」
「(笑われた…!)」
「まあ、いいや。
実は俺も
気になってたんだよ。
だから両想い。
っつーわけで
今日からよろしく」
「…!こっこちらこそ!」
どっかーん!
パチパチ
ヒューヒュー
「おめでとう!」
「よかったねー!」
「おまえらやっとかよ」
「あははは顔真っ赤だよ」「今日は赤飯だな!」
(うれしいいいー!)
(…俺から言おうと
おもってたんだけどなー)
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あっ!
会いたい!会いたいな!
なんだか
すごくそう思ったから
立ち上がって
スリー・ツー・ワン!
小さな声でカウント
走りだす
右足、左足、右足、左足
急げ急げ!
耳元でごうごうと風が騒ぐとてもつよいなあ
でも、追い風だもん
飛べそうなくらい
せっかくくるくるにした
髪の毛がすっかり
ぐちゃぐちゃだけど
気にしないよ
加速するスピード
舞う落ち葉
もう止まらない!
スカートがひらり翻る
ブーツの踵が
きゅきゅっと鳴った
ただひたすら
君のもとへまっしぐら!
ノックを3つ
開かれたドアの向こう
お昼寝の最中だったらしい君のふにゃふにゃ笑顔に
安心して力が抜けた
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醜い魚になろう
嫌われ者の植物になろう
だいきらいって
言われても
あなたとなら平気だよ
世界を敵にまわすくらい
愛し合うふたりでいたい
これから先
何十年何億年もずっとと
仮定、決定したうえで