詩人:タンバリン | [投票][編集] |
感じないぜ
何も感じないぜ
犬が皮膚病でも、痩せこけていても
猫がヨタヨタで、目ヤニたくさんでも
考えはしない どちらがましかなんて
君が申し訳なさそうで
不安げで俯きがちでも
考えはしない、どちらが上かなんて
ヨードチンキの泡
生まれては消える
白く濁ったぶんは、雑菌があるらしい
もう慣れちまったよ、多分良い意味で
俺は感じないぜ、そんな事よりも
微笑んでおくれ、犬も猫も人も
まあるい顔して、笑いかけて欲しい
考えもしない。感じたくもないぜ
それよりも皆 ホッとしておくれよ
顔が歪む程に
ストレスなんてそこらじゅうにあるさ
お金の次は身分、逃げ場もない気持ちでいるのか
感じないぜ
何も感じないぜ。
まあるい顔して、笑っておくれよ
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冷たい雨の中
外より少しあたたかいクルマの中で
僕の体はもっとあたたかい
僕は僕の体のあたたかさが
愛おしいものに感じた
ごはんを食べたばかりだから
胃の近くからポカポカした熱が出て
風邪気味に過ごす休日を
ずいぶん幸せにしてくれる
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早口なんて言葉じゃないんだよ
彼女はもう二時間半も
蛇口みたいに喋っている
時計の見方も違う、二人の火曜日
洗濯機みたいに、彼女は泣いたり喋ったり、繰り返している
僕は、彼女の気持ちの表面を歩いている
型の合わないレンチで、蛇口を絞る様に歩いている
彼女の気持ちの表面に、大きなコブを見付けて
時計は9時半。もう帰るのにも良い頃合い。
僕はそのコブをゆっくりと撫でて
彼女はやっと帰り支度を始める
まるで時計の針みたいに、
そこからは僕ら、規則正しく離れていく。
僕も、君も、生きる事を急ぎ始めている
時計の針が、近づいてしまう前に
僕も車に乗って、夜のパジャマを着込んでいく。
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夕方あそぼうよ
ゆうべここへ来たよ
夕方あそぼうよ
もう、ひからない
夕方あそぼうよ
ゆうべここへ来たよ
夕方あそぼうよ
午前2、3時まで
夕方あそぼうよ
石ころ拾おうよ
夕方あそぼうよ
明日の日暮れまで
夕方あそぼうよ
もう、光らない。
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各自治体に無重力訓練場があって
僕ら、当たり前に火星にひっこしをするんだよ
ぷかぷか、ぷかぷかの無重力。
僕等宇宙の昆虫になって
成人するように、羽ばたく事を教わるんだね。
とんぼみたいに、なったんだよ。
何も考えず、ヤゴを経て羽化して
電波なんかで、色々教わったよ。
やけっぱちみたいに保護された
ブラジルの隅っこで葉っぱをふかしている
あいつらは多分、僕の子孫だよ。
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風の音を聞いたけれど
雑草の道を愛したけれど
僕は今まで、
どれほど感動を逃がしたのだろう
指先は誰よりも見ていたのに
君の体には何度も触れたのに
人だけは、
レンズ越しにしか見なかったせいだ
ゆずの歌った栄光の架け橋が
震えてサビを歌えないなんて
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今日僕は君に連絡をしなかった
高速道路に飛ぶ家畜の羽根を
雪と言ってはしゃぐ人は
真っ直ぐな気持ちを持ち
いつも何かに夢中でいる
昔良く通っていた道
出会った事が無い様な僕が、まだ生きている
来年僕は連絡するだろう
今日にまた出会えているなら
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心のパジャマを脱がずに
体を綺麗に洗ったら
電信柱のかげを通り過ぎ
君の所へ行く
電信柱のかげは口の軽い男で、
影を残さない変わりに
スキップを続けろと言う
彼女はやめていなかったし
本当に僕も続けた方が良いのかも知れない
電信柱のかげはこつこつと、色々な出来事に情緒や風情を名付けている
スキップを勧めながら
電信柱のかげは、一度も悪さをした事がない
靴をぶっきらぼうに揃えて
僕は君の部屋に入っていく
花瓶の花を替えながら、君は好きな色の話をする
テーブルランプに透かされた美しい影は、
僕を曖昧な気持ちにさせる
かげの名付け札は決まって
立ち止まらなければ見えないところに置いてある
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好きだよコットン倶楽部
綿は夢の素材だよ
わたわた、わたわた
悲しいよコットン倶楽部
生殺しの気分さ。実際。
わたわた、わたわた
嬉しいぜコットン倶楽部
僕を迎えてくれる。
協調性なんて要らない。
コットン倶楽部は、そんなバラバラなメンバー。
メンバー。募集中
わたわた。
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たまに起きる「今やろう」って意志が
ずっと続くためにはね、
大きなプールが絶対的に必要なんだ。
少なくとも、今の僕にはね。
みんなで海岸沿いの暖かい街に行こうよ
そこには、大きな陽や見たこともない青空が無いとね、
とても、前世を語り合う事なんて出来ない。
出来ない。
親友とマットの浮き輪に浮かびながら
今までの人生を青空に溶かし込む
音楽の歴史を一回りする位
大きな音を流し続けて
楽しいバーベキューの準備すら、
記憶に無いくらい。
ちょうどきた流星群に。
酔った僕は、人の命を語る。
収入や、業種や、人間関係とか不況とか、
僕のハタラクジクは、プールを基準に出来てる。
必要なモノが決まって来るんだ。
とっておきの夢を話さなくちゃならないのは、
きっと、君が悲しそうだからだ。