詩人:タンバリン | [投票][得票][編集] |
誰も乗っていない
桟橋にある
アヒルのボートで二人きり
バシャバシャと僕らは暮らしてた
「ほとりがあるよ
「ううん、あれも海なの
アヒルのボートは笑ってる
ポケットの中身、一緒の袋に入れて
「縄、はずしちゃったね
「いいの、二人で安心になるから
水には、しょっぱいのと普通のがあった
僕らはボートの中でそれを知った
さざ波が立つと 僕らは抱き合ってささえた
でも、ある時
抱き合った向こう側
お互いに ボートの床にヒビを見つけた
アヒルのボートは同じ顔
二人とも、その事を隠して
アヒルのボートは笑ってる
無邪気に傷付け合った跡
あいあいがさ お菓子の袋
最初に君だけ残って
その三日後僕だけ残った
「霧が晴れたらね、後片付けの日がくるの
「私ね、それが怖いの なにより怖いの
みんな
みんな、
水色ドアに閉まっておかなくちゃ、
僕が子供じみている間に。
アヒルのボート
バシャバシャと幸せそうに
「行きたい場所なんて、どこにもないんだよ