曇った窓の向う夕闇の中孤高に輝く月は滲みその姿を白に隠す本当の姿を確かめようと月の輪郭に触れた拭う指先を伝う流れは窓へと移りまるで月の泪の様に流れてゆくその泪を止めたくてやさしく親指を滑らせるただ一筋の泪を止めたかっただけなのにいつのまにか幾つもの泪が零れていたただ君の涙を止めようとして癒そうとして沢山の人を傷つけ涙させた自分の姿に重なってふいに涙が溢れ頬を伝い月の涙と共に音も無く零れていった……
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