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雨蛙の部屋


[115] 月の涙
詩人:雨蛙 [投票][得票][編集]

曇った窓の向う
夕闇の中
孤高に輝く月は滲み
その姿を白に隠す
本当の姿を確かめようと
月の輪郭に触れた
拭う指先を伝う流れは
窓へと移り
まるで月の泪の様に
流れてゆく
その泪を止めたくて
やさしく親指を滑らせる
ただ一筋の泪を
止めたかっただけなのに
いつのまにか
幾つもの泪が零れていた


ただ君の涙を止めようとして癒そうとして
沢山の人を傷つけ
涙させた
自分の姿に重なって
ふいに涙が溢れ
頬を伝い
月の涙と共に音も無く
零れていった……

2006/12/03 (Sun)

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