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いつも夢に見る
とても目覚めの悪い夢
名前の由来を
作文で書かされた時
“わからない”
そんな一文を名前の横に添えた。
不真面目だと
あの時先生は言った。
仕方ないですよ先生。
誰に聞いたって
僕は自分の名前の意味
わかる筈なんてないんですから。
僕は気まぐれの星の元に生まれ
親と呼べるモノは純粋な気まぐれで
僕を適当に呼んだ。
大人になったら
僕は恋をしないだろう
それは本当に残酷で
僕のような気まぐれを生み出してしまうからだろう。
幼いながらに知った
恋と愛の違い。
母は僕を愛してはいない。
父は僕の存在すらいない。
寂しいと手を差し出しても
救いの手など降ってはこないから
僕は気まぐれに余った手を
ポケットに仕舞い、背を丸める。
気まぐれの星は
至ってシンプルで
僕は是ほど残酷で
悲しい事を怒りに…そして、
悔しさに換えて
今日も深く呼吸をするんだ。
あんた達の気まぐれに
もう心底飽きてしまったんだよ。
気まぐれの星は
至ってシンプル。
気まぐれに死期を
待って生きる。
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作り笑いが嫌いでね
ずっとこの顔で我慢
していたのよ私。
常に水を溜め込んだ
そんな浮腫んだ顔と
怒り悲しみを混ぜた
複雑で汚い作りの形
いつも鏡の前で泣いた
どうして私はこんな顔
どうして生まれてきた
不条理な生態系。
綺麗に笑いたいのよ
こんな醜い作り笑いは
もう耐えられないの。
お母さんごめんね。
アナタのせいじゃないの。
お母さんごめんね。
だからそんな顔しないで。
人様に後ろ指刺されたって
可哀想だと影で罵り受けても
私は私
整形したのよ。
後悔なんて無いから。
私はただ
綺麗になりたいから
整形したのよ。
忌々しい父の事…
あの人に似た
この顔が醜いからじゃないのよ。
本当よ?
嘘じゃない
だから…これからは…
毎日私の顔を見ては
溜め息を吐くのは止めてね。
もう私はあんな醜い
顔じゃないのよ?
だからこっちを見て
お母さん…
綺麗になったよ?
もう思い出さず2人
笑って暮らせるのよ?
だから
こっちを見て
笑ってよ
お母さん
私を愛してよ
お母さん…
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何かあるんだろ?
何だい?
母ちゃんに言ってみ!
え?学校へ行きたくないし
会社に行きたくないだって?
むしろ生きたくないだってか?
じゃあ
死んで何がしたいか言ってみ!
ほーれ
なーんも出来んじゃろが。
そんなん
“したい事”言わないじゃろが。
そのうち死ぬから待っとけ
慌ててやる事ないでしょが。
その前に母ちゃん
今、お前の葬儀代なんか払う余裕なんかないわ。
普通自分の親ならそんな薄情な事言わないってか?
そんなん
うちはうち。よそはよそじゃ!
ほれ、下らん事ばっか考えて
ウジウジウジウジウジウジせんと飯食いや!
ほれ
沢庵をポリポリポリポリかじってみ?
沢山かじればいい音出るじゃろ?
朝からしっかり飯食って、いい音出しゃ
嫌でも目が覚めるやろが?
朝っぱらから
やる気出せんと
ウジウジウジウジウジウジしとると
そうやって卑屈になるんじゃ。
ほら!背筋!
シャンとして行ってこい!
それにな、薄情言うのはアンタの方じゃね。
父ちゃんと母ちゃんより先死ぬ言うて…
聞いたのはそっちの方だろってか?
バカ言ってんじゃないよ!!
アンタに先死なれたら
ワシら老後を楽に過ごさせないわな。
頼りになる気は無いけどな!
死ね言ったって長生きしたるわ!
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朝
様々なテーマがマーチのように
勢いよく行進する
スクランブル 一日の始まり。
愛情を持って
割れない卵でも
両手で支えて
見えそうで見えない未来を
自在に空想してみる。
足りないの アンタの心に
物欲の権化。黒いかたまり。
それすら愛おしいのと
膝にすり寄る
まるで猫のよう。
車が宙に浮く技術とか
物質のみを転送する箱なんかを
想像した未来は、意外にも
過去のスクラップたちに埋もれ
持て余した 発想力。
とりあえずコーヒーだけでも…
なんて、てんで興味ない素振りで
どうやらウサギさん、あんたは
俺のことだけ考えたいご様子。
そんなマイペースさが
より一層、君を味付ける
甘味料になる。
自分らを支えるカラーは
いつだって少し流行からハズれてて、
ブルーの寵愛。レッドの彩度。
いつだってグリーンが抜けてるから
ユニセックスな度合。
たった二色の彩色で、
惚れた腫れたの大騒動。
意外にも互いに毎日違う色。
触れ合うたびに、朝が恨めしい。
触れ合うたびに増す
寵愛の濃い一色。
触れ合うたびに思考する
この時間と空間の意味。
君に触れていたいと
睨む太陽の眼差し。
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洗濯日和の晴天を否定するように
腕を目一杯伸ばしカーテンを閉ざす。
無作為に手にしたオーディオのリモコンは
日常と云う、パターン化された嬉しくもない行為だったのだと
嗅ぎなれた己の香を染み込ませる毛布に
思考する事を否定する頭を滑り潜らせる。
コミュニケーションは嫌いじゃない
ただ何となくこんな自分が惨めに感じるので
表に出てやろうと云うアクションは無く
今日も友情の定例文。そんな相槌に打って出る
存在を光々と発する指先のキーボタン。
憂鬱さにはさほど慣れた。
今はただ何にもしたくなくて、
やっぱりこのまんまじゃ駄目になるんかなぁ〜なんて
これを大した問題とも思わずに、思考するのを止めた午後。
皮肉にもこれは鬱症状の一歩手前だと
病名とはこの世の中に沢山あると云う事を
ブラウン管に映る御高名そうな医師が知らしめる。
自分の事は一番
自分が良く分かってますからね。
何となくスカした
やる気の無い思考が嫌い。
勿論これは自分の事で
そう思えば思う程、
いい感じに自分の事が嫌いになっていきます。
だからどうでもいいって、何も考えたくもないのに
やっぱり無意味な時間は無意味に思考させ
自己分析だけが得意になった。
そんな所もやっぱり鼻について
時折苦しさに顔が歪みます。
こんなボクの偽善的にも取れる優しさですが、
どうか君たちはこんな風にならないで下さい。
存在全てを
切り刻んで無くしてやれたら
コイツ自身も幸せなのに…と
臆病者が何を言うやらで、毎日空が闇を連れてくるのを待ってる。
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コガネムシ
コガネムシ
その重厚感
コガネムシ
コガネムシ
そのクォリティー
コガネムシ
コガネムシ
淑女の胸元に。
コガネムシ
コガネムシ
カメムシと共に
コガネムシ
コガネムシ
光に導かれて
コガネムシ
コガネムシ
匂いで果てた君。
コガネムシ
コガネムシ
カブトムシに
コガネムシ
コガネムシ
クワガタに
コガネムシ
コガネムシ
その角で果てた君。
コガネムシ
コガネムシ
そのクォリティー
コガネムシ
コガネムシ
光沢が違う
コガネムシ
コガネムシ
野生で生きる君
コガネムシ
コガネムシ
もう君の見た目の重厚感には騙されない。
コガネムシ
地に果てる。
コガネムシ
黄金色。
コガネムシ
美こそ無価値。
コガネムシ
野生に果てる。
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なかなかいいでしょ
このギャップ
標準装備の劣等感は
時折乱気流。
思うようにやろうと
肩に力を入れて
いざ新地に飛び込む
見事なまでの接触事故
もちろん自身にゃ
エアバック搭載で
ピュアな心は折れません。
えぇもちろん起動にゃ
膨大なコストがかかります
燃費の悪さも売りです
傷付く前に
傷付いたフリして
酒にすがったりもしますから。
なんと複雑なエアバックなんでしょ?
仲の良いヤツらは面倒くさいといいながら
なんだかんだ介抱してくれますよ。
ヤツらは多分自身より高性能なメカなんでしょうね。
アナタを搭載した日にゃきっと
心も翼も軽くなって、
ジャングルの秘境でも
着地する位ハイになるでしょう。
しかし
小学生の時
飼っていたカメが死んだ時は
三日三晩泣き明かしました。
すなわち目も当てられない位
心が折れてしまっていたのでしょう。
きっと
アナタをカメに
カメをアナタに
例えたら…なんて
アナタはカメより可愛いですが
きっとアナタをなくしたら
三日三晩じゃ足りない位、自身を責めてしまうでしょう?
だからアナタは
だからアナタと自身は
この距離感で良いのです。
すっかり自身の心には
アナタが標準装備されたように
当たり前すぎる位
アナタのみに視界良好なんです。
楽園を旅する。
目的地はまだ秘密。
標準装備のお気楽感。
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この世に産まれついた
母の胸に抱かれて
泣き声を上げた春
地を這いずり
母の腕が恋しくて
後追い始めた春
初めての恋
好きと抱きしめ
ふざけ合う幼稚園の春
黒板の日直欄に
自分でコッソリ相合傘
素直じゃない小学の春
部活のコートで
すれ違い様に
目で追う中学の春
バイト始めて
君にプレゼントした
高校1年の春
飲み会の帰り
コッソリキスした
大学2年の春
一緒になろうと
一生懸命働いた
就職5年目の春
石のついた指輪と
典型的なプロポーズ
同棲3年目の春
泣き声を上げ
妻の腕に抱かれる君
結婚2年目の春
成長を見つめながら
二人して笑い皺作る
結婚10年目の春
子供も手がはなれ
また新婚生活だねって
宜しく互いに笑った春
やっぱり男は
女から産まれて
最後も女の元で
息絶えたいと願う者。
だから寿命は
男よりも女の方が長い
だけど寂しい思いはさせたくないから君に
楽しく君と暮らそうと決めた春。
床に伏せた僕
君の胸に抱かれて
生を全うした100歳の春。
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恋をしました。届かぬ君へ、触れぬ実情。
“もどかしさ”と書いて愛を叫ぼう。
私は非現実主義の
所謂懸念されがちな
ユメミオトメ。
紙とインクだけの世界で良かった。
創造主である神の愛着はしっかりと伝わってるのよ。
神がこの人を生み出してくれたのに感謝です。
週に一度、ページを捲れば
アナタと逢える、見つめています。
実際トリップ出来たらなんて考えたけど
やっぱり無理だと思うのは
“行けない”じゃなくって
“生けない”なのよね。アナタの世界は。私。
だってこんな温い世界よりも
アナタが生きる世界は険しい戦道。
私なんかが踏み入れていい場所じゃないもの。
創造主…神よ
だからお願い。
この紙面から
あの人を消さないで。
彼の額から流れる黒塗りインクが
そして彼を取り囲む人物たちが
グワリグワリと表情を貼り付けては
慌てて遮る綴じた本の音。
駄目だ、もう駄目。息が止まってしまいそう。
沢山作り上げた
彼の人格すらを
血生臭い描写で
全て奪わないで
思い出なんか語らないで。
ただの紙とインクだけの世界だけど
私の涙で
世界が歪んでしまうから。
私の涙で
本当に彼が滲んでしまうから。
嫌われてしまうより辛い、恋の終わりに
私は読者から漫画ちゃんになる。
だってもう
現実になんか戻ってやれない。
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僕の青春
ロードムービー
ススカビだらけの
4畳半。
ジミヘンすらも
脱帽間違いナシな
じょんじょんぎりぎり
下町アコースティック
日の出桟橋商店街
ここのメンチ食って
ロックスターが育ちましたって
必ずテレビで言ってやるから
オマケよろしく
肉問屋のパートのおばちゃん。
16になったら
ソッコーバイクだなってさ
桟橋から投げ捨てたチャリンコと
アイツらとのバカ笑い
そんなセッションが後に俺の伝説としてメロディーラインを占拠する。
快感だね観衆の悲鳴の雨。
武道館なんて古いよ
渡米するよ全米ツアーだよ。
雨に打たれた平屋の二階からは
雨漏りだよタライの悲鳴。
此処はいつか無くなってしまうけれども
生まれた音楽たちは大いなる成長と貢献。
下町アコースティック
たかだか4畳半の産物に
10年後にゃ皆が酔いしれて
俺は今から笑いが止まらない。
冷蔵庫の発泡酒が俺の指で弾けて乾杯
夢じゃないのさ実情さ
じょんじょんぎりぎり
弾かれた弦に似た黄金色のメロディー。
前祝いで酔いしれて
発泡酒に黄昏て
思わず鼻歌メロディー
10年後の皆に向けて発信する
下町アコースティック