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まとりょ〜鹿の部屋  〜 投稿順表示 〜


[252] 知り得ぬ二人の距離
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

お互い頑固者で
そして臆病だから
決して平行を望まないし、先へも進まない

好きだと言ってさえすれば
この霧が嘘のように晴れるだろう

しかし終わりはするものの終点は無く
どちらに乗り換え向かうかなんて知る術すら無く

堅く結ばった愛を詩人は言う。
“恋は脆く、愛は重く”

忘れてはいけないこの僕らの位置を彼らの代わりにこう歌おう。


“恋はその重い扉の試練を開いてから始まる”


その重さは愛とか恋と同質のモノかなんて知りやしないけど。

2008/06/30 (Mon)

[253] エステティシャン
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

人様の顔色伺い
顔色を華やかに
どちらにせよ顔
顔顔顔に丸一日

こんなに危迫な
状況なんだから
私の顔色なんて
チェックしてさ
一々怒らないで
小さいオーナー

私ってさ神の手
思う実感なんて
もうこの機械の
ような単調かつ
流れ作業にはさ
感じたりも何も
もう全く無いの

人様を華やかに
美の意識向上に
高いケア商品を
詐欺手法で段々
やり方をえぐく

こんな私自身は
段々汚い女へと
変わってしまい
水質汚濁のよう
まるでこれが今
穏やかな小川の
平常のようだね

エステティシャン
だから私は何より
綺麗な物が大好き
ここには私の手が
必要なんじゃなく

世の中に寛容かつ
汚れても全くもう
気付かない綺麗な
エステ後みたいな
綺麗な綺麗な心が
必要みたいだから。

こんな今の心には
エステより何より
歪んでぶれた魂の
矯正治療が必要で

エステより整体ね
治していかなきゃ
そうなんですかね?

2008/07/05 (Sat)

[254] 冷戦冷凍
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

冷房設定温度20度
エゴでエコな我が家
リビングは冷蔵庫で
蛇とガマの睨み合い

さしずめ僕は冷凍の
カッチカチなマグロ
斜に構えてた彼女も
静かに冷凍マグロで

まるで倦怠期みたい
爽やかにジョークを
ノーリアクションで
寒いと静かに返す君

ブラックユーモアが
満載だったなんて今
うっかり褒めてみた
もちろん静かに返す

やり取りが小一時間
こちらも話反らして
考える隙すら与えず
そんな策略とは裏腹

心も身体も冷えた君
本当に冷凍マグロだ
隙なんざありゃせん
こうなったらヤケで

ここは寒いから二人
もう一度暖かい家庭
やり直してみようか
そう耳元で愛の懺悔

君はハァって吐いた
そんな口元に注目を
三秒後に訪れてきた
無言のマグロ状態に

冷房設定温度20度
それ以下、氷点下の
心に寒さを感じれば
本当〜に寒すぎるぜ

とりあえず冷房だけでも消していいでしょうか?愛しの暑がり奥様。

2008/07/15 (Tue)

[255] リョウ薬、口ニ酸味
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

頂戴よ なァ頂戴よ

思わず頬張る

打算 駆引き 合否

傾き出したアルゴリズムに
口火を切るのは何時も吐息。


ベッドで ベストな

思わず頬張る

前遊び 中へナカ

後ろはまた後ろ姿と
湿った煙で沸き上がる無


本当に好きだとか
あなたが欲しいとか
言っちゃったら
きっと此処で負けちゃうんだろ?


なァ、何で人間ってこの世界で栄えたんかなァ?

イチとイチで代わりのない個体なのに
こうやって二種類の対にしちまったのかなァ神様、


時間と距離と酸味と
お前と俺と背徳感は
精神科の薬よりもさ
すげぇガツンとクる


なァ頂戴よ 頂戴。
むしゃぶりつけば
身体も涙も嘘も何も
やっぱり酸っぱいわ…。

2008/07/16 (Wed)

[256] 良父宣言
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

はじめましての君を
震える掌で抱き止めた時から決めたんだ。

僕が君に名前を与えた日から
君は僕たちから家族と言う当たり前を
ちゃんと逸れたりせずに受け取ってほしい

まだ何も判らない君だけに
僕を見れば泣いてしまうけど
元気な君を見れば僕はまた頑張って
パパであり続ける事が出来る。

女の子の扱いや気遣いがなってないと
君と出逢う前に散々ママに言われてたけど
君を悲しませたりしないように
僕は君を抱く両腕に誓うからね。

だから約束してほしいんだ。
パパはいつまでも君の良いパパで居たい

だから君もちゃんと僕らの手から離れる時まで
この世でたくさんの光を見ていってほしいんだ。

君にいい男の人が現れて
今は小さな手が大きくなって
包み込んでくれる人が現れてしまう時

その時だけは僕も少し嫌なパパになってしまうかも知れないけど

誰よりも君の幸せを願う
巣立つ鳥の止まり木にさせてはくれないかい?

はじめまして
こんにちは
僕の可愛い
生まれたての魂。

2008/07/17 (Thu)

[257] それは涙(別れ)じゃねぇ
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

この世に置き忘れたモノなんて何もない

見知った街を飛び回る俺は世に言うお化け

別に意味なんて無いのに漂って

後悔なんて忘れる程にたくさんしたし

別に本当に意味もなく漂ってるだけ

なのに何故か身体は鉛のようで

気だるさを連れて俺はいつもだった道をなぞる。

後悔は無いんだ
ただ普遍的な日常に
かったるく欠伸をくれて

元々人付き合いが苦手で

でも何故か無性に人付き合いを求めたモンだから

無情な時を恨めしく涙を流すお前に会った

別に忘れてもいいんだ。

いつもみたいに薄情な口を叩けたら


”どれだけ幸せだった事だろうな?”


口に出した瞬間
本当に溶け出した
幽体浮遊も終わり
最高を飾るはいつも涙か

こんな生理的現象なんざ求めて堪るか

涙なんざまっぴら御免だ。

お前も何時まで泣いてんだ
酷い形で潰れた前の俺は
真っ赤真っ赤で汚ならしい
だから頼むからさ服も手も汚れっからさ

もう抱き締める腕を緩めてくれよ。

もう本当に忘れっちまえよ馬鹿女

溶けてく俺
違ぇよ、違ぇって
目から溶けてんだよ
泣いてなんかねーわ
涙なんざまっぴら御免だ

お前も泣くなよ頼むから
俺は溶けだして広がって
いつもお前の近くで形なく漂ってやっから


お前は俺の存在を消してくれないか?
じゃないとまた、お前に惚れちまうからさ

2008/08/02 (Sat)

[258] アイロニー
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

数秒間物憂げで
日が差せばご機嫌で
雨で無くとも傘を
雪の日は車を出し
コロコロと切り替え

まるで世の中への
反発心なのか持論なのかは
ちょっと分からないけど
とりあえず彼女はご機嫌のようです。

蟻の行進を妨げ
人波を掻き分けて
ゴーイングマイサーファー

夜の灯りが好きで
けれど一人は嫌で
よく君は他愛の無い
頭ん中の世界を
昔話みたいに受話器越しに

夏らしく海へと
車には相変わらずの
君らしい小物で
多分そんな季節だからさ
恋だってしちゃうんだよね。

君はこんなに楽しい
なのに世界は僕を急かして
彼女の何気ない世界観をね
僕は抉じ開けて壊してしまいそうになる。

ガムシロップかき混ぜる
甘過ぎる濃度と温さで午後
物憂げに笑う彼女の口元から溢れる
僕は必死に波に飲まれないように見つめて

こんなにも自由で
溢れる世界観を
恨めしく彼女の隙間
挟まる機会を狙う

君はまた物憂げに笑う。
夏だからって恋とか焦る必要は無いの。

じゃあ答えを待ってもいいかい?
君との関係もアイロニー。

愚問と言われても構わないさ
君は僕の世界を造り上げた一人さ。

2008/08/12 (Tue)

[259] 息子と下駄占い
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

現実の脆さを
妄想の儚さを
過去の不安定さを
未来の不確定さを

踵を潰して履くシューズを
遠い遠い空へと蹴り出す

裏返しだと湿度が悲しくて
表返しだと温度が痛くって

カモメが鳴いた
海が近い
散り散りとさざめく
波、夏を感じる。

悲観的に捕らえる小さな眼を
客観的に見据える濁した眼で

無い頭を振り絞り
良い親の背中より
無い頭を生かして
良い顔の横顔を。

主観的な小さな顔した瓜二つは
デカい方の頭とは出来が違うようで
そんなに馬鹿では無いようで
飾り気にはイミテーションと
すぐに見極めてしまいますから。

夕暮れ風靡く遊具。
さてさて息子よ明日を蹴り上げ占い
またまた親を超える為に沢山寝たまえよ。


現実の脆さを
妄想の儚さを
過去の不安定さを
未来の不確定さを

無い頭で考えても
賢い頭で考えても

明日を蹴り上げ
占う術しか
人は知り得やしないのさ。

2008/09/08 (Mon)

[260] 実感する生。
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

知らぬ間に
擦って出血した
痛みよりも先に
ぷくりと膨らむ赤に
虚しさを感じるのは
実感しちゃったからなんでしょ?

傷は浅いが致命的で
今すぐに地を引き裂くような振動で
わんわん泣きわめいたのは
脳みそが今日も調子善く機能したからなんでしょ?

淋しさを口にするのは苦手です。
だから迷惑を掛けてしまっているんでしょう?

苦しさを態度に出すのは苦手すぎます。
だから誰もこの声に気付いてはくれないんでしょう?

人混みが苦手です。
対話が下手糞です。
察しても動けずに
見透かされた目も
義理という感覚も
苦手すぎます。駄目なんです。

でも今日も脳みそが機能しています。良好すぎて困ります。

赤に気を取られたら
次第に擦り傷は痛く
いえいえ痛いと思い
これは脳みそが調子が善すぎるから
だからわんわん泣いているんです。

全くもって要らない手間を…。
赤に滲む箇所を見つめているうちに
気付いてしまうもんなんです。

ああ、成る程。生きているんだと。

2008/09/15 (Mon)

[261] 平成電話ボックス
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暖かい硝子張り
沢山の銅貨積み
長さは一分一律

沢山の声を届け

他愛の無い言葉
重要な秘密事項
信頼を築く約束

沢山の声を拾う


電子トーンのみ

ボタンを弾いて
小さな液晶へと
文字に代え伝う

ポケットのベル
声よりやや少し
寂しいが大事な

これもまた違う
時代メッセージ


貴方の声を聞き

貴女に声を伝え

距離の壁を壊し

時は残酷に壁を

時代の壁は高く

既に仲間は絶え

愛を囁く言葉も
幸せ声の一分も
弾く電話文章も

皆、手元に携え
無情に時と皆は
緑色のアイツを
忘れたみたいで

声で愛を囁く術
約束容易く破り

受話器の紐とか
手垢で薄く汚れ

平成電話ボックス
通話時間は終わり
あの善き時代へと
思いを馳せてみる

平成電話ボックス
今見かける機会が
めっきり減ったが
是非見かけたなら

過去へと想いのみ
銅貨と番号と共に
タイムトリップを
心ゆくままに…。

2008/09/24 (Wed)
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