詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
数十年やっとこ生き長らえて来たところで
突然前触れもなく心の臓が早鐘を打ちます
頭の中でファンファーレが鳴り響き
理性と本能、思想や感覚
各馬一斉に頭の第一ゲートからスタートし初めます
牽制や距離、追ったり逃げたり繰り返し繰り返し疾走します
コンディションは好意の気まずさ相まって、正に雨の重馬場
曇天の空気の中ふたりゴールラインが見えず
どこから一世一代の勝負を仕掛けて良いやら目線をチラチラ目配せます
時折、失速致しますが
エゴを前にして脳みそがフル稼働して更に突き進みます。
ゴールが見えない
ゴールが見えない!
仕掛けるポイントは時任せの展開へともつれ込みました
恋人たちの夜
レッドカーペットを夢見て
今、聖なる夜に一頭の悲しき逃げ馬か、一蓮托生に賭ける追い馬か
つかず離れずの美脚の差し馬をピッタリとマーク
決め打ちしてきたタイミングや仕掛けを頭から総てすっ飛ばして
今、華麗にアタックを仕掛ける。
ゴールを決めたのは…!
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優しい嘘
見え透いた嘘
悲しい嘘
大人はいつだって
舌先から滑らかに嘘を吐く
謙遜だってそうだ
社交辞令なんかもそうなんだ
もう胸なんて痛まないんだ
虚像と軋轢が嘘を上手にしたんだ
子供の頃は
どんなに些細な嘘でも
先生が廊下に立つように言いつけ
嘘がどれだけ傷つけるかを説くんだよ
さぁ、
明日にでも地獄の門前に立って
その滑らかな舌を差し出して御覧よ
閻魔様にちょんぎって貰いなさい
あなたの優しい嘘は
私には悲しい嘘だ
その滑らかな舌は
私には凶器でしかない
大人よ、
あんまり絶望させないでおくれ
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喉から手を出して欲しがる様を
頭にぶら下がった人参を追い掛け続ける様を
みっともないと思ってしまうのでしょうか?
胸焼かれるような思いでひねり出した言葉たちを
戻らない昨日を悔やんだ涙たちを
何も無かったフリをしてやり過ごすのでしょうか?
欲望は眠らない
野心は死なない
言葉は黙らない
それならば
悲しみはどうだ
苦しみを伴わないように
全てを静かに終わらせると言う選択
苦しみを伴わないように
もがきながら続けてゆくと言う選択
限界のラインを定めたのは自分なのか誰かなのか?
そしてその境界線の向こうにいるのはどんな姿をした自分か誰かなのか?
知る必要は無いかもしれないけれど
知らずに終わらせてしまう必要もない
渇望しなよ、もちろん期待もしなよ
打ちひしがれて泣いたとしても
泣いた先に何かを感じてみないか?
これでいいよって言わないで欲張りなよ
そんな君を
世界中の誰かや誰か、大勢でないかもしれないけれど
必要と手を伸ばして待っている事は間違いない事実なのだから。
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創られたルール
勝手なルート
さほど美味くない餌
頭の中は自由だって云うのに
どうしてこんなにシビアな選択
大してめでたくないエンディング
進むか止まるかしかない行程
思った以上に人は足早に
冷たい目線で弱者を横目に過ぎ去る
さて此処でクエスチョン
あなたは誰の為に生きる?
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心にぽっかり穴を破り開けられ
黙ってしんしんと泣いているような
そんな利口さはいつからか捨てた
馬鹿な人だと罵られた方が良かった
どんな嘘を重ねてもあなたはただ一人
隣で笑ってくれた方が良かった
大人は理不尽だ
平気で嘘をつく
涼しい顔で虚しい正義を振りかざす
子供は不条理だ
この傷の埋め方を
そして無意識に探してしまうくせを
嘘なんかでは埋められないからだ
狡い 狡い
汚い嘘だ。
新しいジンクスを作った
青いミニクーパを3台見つけたら
きっと明日からもっと素晴らしい人に会える
なんてそんなの言い訳だ
あなたの乗った車に似た白いバンを
無意識に探してしまうからだ
早く埋まる何かを見つけたい
見つけたらもう二度と手放さない
狡くて汚い穴に眩暈がして吐きそうだ
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時に満たされない振りをして
「愛が欲しい」と無常の空に投げる
時に空腹な顔をして
「満たされない」と舌を出す
欲望は獣だ
そして言葉はいつも意味が伴っているとは限らない
彼女は言った
「愛が欲しいのよ」と上っ面な微笑みで
擂り潰すように 寝具の上で
「ありがとうね」と上っ面に笑みを浮かべ
何を知らない振りをしろと云うのか
与えた振りをしている彼女は付け上がる
何を知っていれば善しとしたのか
私は一時間の休息を欲した
何層にも重ねて潰し積み上げたのは
愛 だったのか
虚空 だったのか 溜息 なのか
二人にしか知らない
知ることの出来ない空白を
彼女はまた、どんな上っ面で
この関係に名称を下すのでしょう?
そっと目を閉じて
彼女の口元を見ない事に決めた
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春生まれの君はいつの間にか
立派な大輪をその芯に宿し
巡る季節の中で芽吹き輝く。
25年にもなる
僕も大分、おじさんになったようで
たまに君のする話が分からない時があるけれど
唯一これだけはずっと知ってるよ。
君はいつも天一杯に両手を広げて
届け届け、と羽ばたく者たちにエールを送る。
「もう、しな垂れちゃって、私まるで柳のようね」
そうやって肩を落として悲しそうに笑う君。
君を悲しませるのは空を自由に行き交う者達か
はたまた、世間の夜風がまだ冷えるからなのか
「お願い、ちょっとだけ夢を見させてほしいの」
青葉が枝先から少しづつ空へ向かうように
見上げ続ける事に諦めを付けないでほしい
いつか実を結び
飛び去った者達が戻り
囀りの絶えない居場所に
君は安らぎと、微笑み絶えない人になりなさい。
君を《止まり木》と呼ぶ者が喩え居たとしても
憂う事は無いんだ。そのままでいい。
僕は知っている。
君は止まってなんかいない。
いつだって青い空を睨む。
その眼差しがまた
暖かい春を呼ぶことも
僕はちゃんと知っているから。
kikaku2013「梢」
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ちゃんと言葉にして!って言われた。
彼女の考えた正解は一つだけなのよ。
貴方が悪いのよ?って泣かれたんだ。
常套句よ、謂わば逆ギレってヤツね。
さすが女の子だね、参考になるよ。
男はみんな詰めが甘くて困るわね。
男らしくないって言われたばっかりだよ?
私の思った通りに動いてよポンコツって意味ね。
質疑応答一時間
カレは延々、大好きな彼女の答え探し
そんな私は滑稽ね
こうしてカレを拘束しているんだもの
馬鹿ね、本当馬鹿なのよ貴方。
馬鹿でもいいよ、彼女とどうしたら良?
嘘、嘘、本当に馬鹿だわ私は。
別れたくないんでしょう?
勿論だよ、何かいい手は無いかな?
あの手この手であの子に縋ってる貴方、無慈悲な声
あの手この手で探っちゃってる私、貴方との可能性
もう彼女は諦めなさいなんてこの口から言えた義理?
姉御ごっこは飽き飽きだわ本当に
貴方は本当に何も分かってない!
可愛いあの子の汚い部分も
汚い私のこんな思いも
「言いたいの、いい?」
柔らかで乾いた感触でお見舞いされて
貴方はやっと答えを知るのよ
残酷さと無知さで傷を付けられたって
私は貴方の彼女と同じ
被害者意識の強い女でごめんなさいね。
応答なしで剛速球
お見舞いしてあげたのよ
結論は一つ
全部全部私は貴方に丸投げ。
勿論これは間違いって気が付いてるわ。
今更気が付いた貴方が馬鹿なのよ。
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共有した時間
厳密には11ヶ月と20日
空想家とは対照的な僕の例えで
僕の体感時間は
濃密な動画を5分
まるで掴みどころのない展開に
僕はいつだって笑っていたようだ
空想家な君が口にした
体感時間無期懲役服役中の11年
まるで牢獄のような苦しみに
足枷を切って裸で逃げたみたいだ
このシアターショウに
照明が灯らないまま数日
僕の体感時間は茫然自失の約半日
矢継ぎ早に新たな客人
教訓とか悲しさとか
引きずらせないのが神の手法か
僕はまた呑気にへらへら笑う
今度の君にはこの平凡なストーリーがどんな時間で進むのか…
矢継ぎ早に僕は考えるのをやめた
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他人目線に善し悪し
優柔不断に好き嫌い
人種差別に足し引き
目に映る羅列は現実であり
脳に伝うイメージは不正解
事実わたしは事柄を知り得ず
現実わたしは制限を敷かれ
感情に左右され
右往左往這う言論
もしもあなたが
違う誰かを選択し
違う明日に立ったとしたなら
それはどんな色?どんな味?不明瞭
もしもあの時
抽象的な言い回しを回避したなら
もしもあの日
具現化した未来を正確になぞれたら
繰り返すは人の過ち
感覚的には時の過ち
知るからこそに美しく
高解像で鮮明に描かれる理想
打ち伸ばされた紙面に踊る極めて抽象的な黒字の媒体
明日もまた踊る黒字の羅列