詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
貴方に全身全霊
ありったけの愛と
其れを表現する為の嘘を
私は貴方が好きよ?
其れだけじゃ駄目なんて
我が儘がすぎるわ。
心赦せる場所が欲しいなら
私に依存しないで頂戴。
其れは愛するとも、慈しむとも違うじゃない?
雨の日は進んで外に出るのよ。大丈夫、丈夫。
丈夫じゃないなら止めとけば?って
私の事を常時
鼻で笑って馬鹿にするじゃない。
大丈夫、丈夫。
馬鹿は風邪を引かないんでしょ?
傘も要らないわ
今はただ外に出たいと燻ってるのよ。体がね。
危険信号かしら?
雨より此処で二人きりの方が
湿っぽくて私は死にそうよ。
貴方に全身全霊
ありったけの愛と
それを表現する為の嘘を…
巧く吐く事さえ出来れば、貴方は
あの時のように手放しで綺麗に笑っていられるんでしょ?
縛られるのはもう
お腹一杯なんだから。
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夜空に咲いた火の花
微か湿った地面に一人
宙を切るような衝撃に
すぐに心奪われる。
待ち遠しかった季節
繋ぐ真空の光
止むことなく高鳴る心
しかし問題は祭りの後だ。
散りゆく空は真っ暗で
それはまるで一瞬の事のように
目の前から消えてしまった。
湿った冷たい地面に
一人だと気付かされる
静まり返った空を見上げれば
より一層心は凍る。
待ち遠しかった季節
今は巡りゆく必然すら忘れ
塩っ辛い涙が伝う。
女はその場で暫く苦しそうに涙を流し
“またね”と清々しい背で街の灯りに溶け込み
男は暫く空を眺め呆然と去り行く人を見送り
“愛しい”と苦しみを含んだ背で静かに涙を流す。
まるで恋は一瞬で
花火のようだと人は言う。
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廻る生命の連鎖
包み漂うピンク色珊瑚のベッド
一等星はただ一つの輝きで
底深い水辺を暖かい群青に染める。
ちょこんと尖り出た五つの骨が
日を増す毎に形を露わにして
アナタを求め何度も水を掴み取る。
囁きにも似たアナタの心音
語りかけが
こうもダイレクトに緒を揺らせば
まだ形すら知らぬ
己の姿が待ち遠しいと
水を目一杯揺り返し
アナタに生命のシグナルを発する。
ワタクシは
名を持たぬ一粒の種子
そうワタクシは
愛の海に包まれ育む
名を持たぬシンカイギョ。
地底から流々流々
赤いリズムを刻むマグマが
より母なる海、アナタの存在を大きく示す。
海深く闇に覆われ
一人ぼっちな筈なのに
不思議とこの目は
日を増す毎にクリアな展望を遂げ、
この先に
アナタとの対面をと
示唆する証と感じずにはいられない。
ワタクシは
名を持たぬシンカイギョ。
名を持たぬ訳はきっとアナタに出逢えば
きっと名を持たぬ理由になる。
いつかワタクシが
この母なる深海を狭く感じた時
一等星に手が届く。
一等星が太陽のような輝きを放ち
ワタクシは母なる深海を放たれる。
毎分夢に見る
母なるアナタに
やっと出逢える。
シンカイギョはシンカイギョではなく
母なるアナタと同じ形でその暖かい腕に抱かれる。
だから外はきっと寒くなんかない。
その日までワタクシはシンカイギョ。
生命を紡ぐシンカイギョ。
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泥沼に片足突っ込んだ
事故なんだ不可抗力なんだわ
ただ単に愛するだけなのに
こうも君を傷つけて。
うわ
ドロッドロで
グッチャグチャに
足元巣喰った
無臭のドス黒ヘドロだ
きったないなぁ
酷い形した沼だぜ
真っ黒だ真っ黒だぜ
君がこうも切なげな顔してんのも
きっとコイツがドロドロ俺の足元蠢いたからなんだ
こっちにくんなよ
本当に気が滅入ってくるだろ?
どうにも動けねぇぜ
こりゃ底無し沼か
人喰い沼にも違ぇねぇか。
こっち見んなよ
こっちくんなよ
何陰気臭ぇ形してんだ
鏡に映った顔見て
ほとほとガックリきたって
醜いのは既に飲み込まれた俺の顔。
ジェラシーしてます。完璧に。
笑っておくれよ。マイハニー。
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FriendのFriを取ったら
endになるんだぜ。
ちなみにFriendはen(円)が切れ目だぜ。
縁度と書いてendだぜ。
ダチを漢字に当てはめてて
絶ちになるんだぜ。
オレンジ服のガキ大将も調子いいヤツで
頼る時だけ“心の友”とかぬかすんだぜ。
こんなに擦れた事ばっか言ってみちゃうんだぜ
そんな俺は
一番友ってヤツに飢えているんだぜ。
別に泣いてなんかないぜ!!
ただ欠伸しただけだかんね!!
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恋人にも
友にも
恩師にも
僕は一向に振り向いてはもらえず
それらの腕にしがみつき悲願するものなら、
一様に罵倒と汚れを払うような態度で
その腕を振り棄てる。
何故だ?何故なんだ?
せっかく此処まで急いできたのに。
皆の為になると、自ら盾になり立ち向かったのに…。
嫌いなアイツが言ったんだ。
憐れみの目で僕を見下ろし言った。
“みんなにお前は嫌われたんだ。
それは…
お前がパンツ一丁だからだろ”
目が覚めた
平穏なる朝日。
一人見慣れた部屋で
嗚咽しながら涙を流して茫然と夢だと知る。
それから僕はパンツ一丁で寝るのをやめた。
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昼間の情事。
秘密の目配せ。
全て全て知ったよ。
その艶めかしい汗も。
豹変する表情も。
そしてまるで
昼メロのような関係も全て。
君に笑いかけられると
罪悪感と批判的な思考が
尚の事
ボクに微妙な時間を生むんだよ。
嘘つき
嗚呼、君は嘘つきだ。
しなやかな仕草と
無垢な微笑みは
全てこの汚れきった時間を誤魔化す
偽りの姿でしかないんだね。
ボクは何を見た?
馬鹿を見た。
いいや
獣を見たんだ。
艶めかしい性の獣よ。
どうしてこうも
ボクを突き放してはくれないんだ?
この薄い壁と
あからさまな暗黙のサインを
ボクの視界から塞いでくれ。
またボクは
黒く汚れた君を
覗き見てしまうのだろう。
目を潰してくれ。
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別れや花粉症なんだもんねーって
春なんか大嫌いだと嘆いたクセに
春色のコートを着て華やかに彩った君が
列車の窓越し
手を振り僕に『またね』と云った
めいっぱい華やかな笑みを張り付けて。
君は優しい嘘つきだ。
僕は窓際の席で静かに泣いた。
ーー寂しいのはお互い様でーー
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どんなに
物で機嫌取ったって
お世辞を言ったって
ゴマ擦ったって
優しくしようが
足りないよ。
どんなに
立派な社会人になったって
オシャレしたって
お金持ちになったって
車買ったって
足りないよ。
些細な言葉で
足場が崩れて
お互いを傷つけて
離れてしまうのは
分かってたから
敢えて言うよ。
そんなんじゃ
全然
足りないよ。
考えるに
足りないよ。
安心なんか
これっぽっちも
足りないんだよ。
何もせず
今はただ
此処に居なさいよ。
寂しいんだよ。
足りないよ。
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僕がいいと
選んでくれた君へ。
幸せとか
永遠なんて
誓えなくても
君が
楽しいねって
微笑む日溜まりの部屋
これさえあれば
全て上手くいくって
信じて一緒に
笑い合っていれば。
さようならより
笑ってて下さいと
君を見送る桜並木。
人を傷つけてさえ
何も感じ無い程
君が愛おしいと
壊れた心で泣いて
貼り付けた顔で笑って
美しい日本語の羅列なんて浮かびゃしなかった
君が今でもって
小さな背中振り向かせる術もなかった
素敵な夢だったと最後に笑う
恋に恋した自分に恋した。