詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
誰かを守るなんて
そんな美徳は無くて
鋭い刃先を光らせて
虎視眈々と獲物探し
誰が聞いても怪訝そうな表情を浮かべ
縦横無尽に振る舞う姿はまるでシリアルキラー
誰かこの人を止めて
人らしき心を持たず
己の欲に取り憑かれ
刃を向け笑う。
いいですか?
よく聞いて下さいね
これは時代活劇でも
ましてや創作話でも
昔話でも御座いません。
銃刀法違反とか
迷惑条例違反でも
決してこの人を裁く事は難しいでしょう。
心臓を抉るように
躊躇せず一太刀
バッサリと責めるのです。
学が有るからでしょうか?
思った以上に殺傷能力があるんです。
あなたの刀はなまくらですか?鋭いでしょうか?
そうです、誰しも帯刀しているのです
顔に鋭い刃を貼り付けて
その刃先からは今日はどんな一太刀が零れるのでしょう。
言葉は武器、
殺す事だって容易な鋭さ
あなたは今日も己を守る為に戦うのでしょうか?
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継ぎ目に添って一つ
曖昧な関係の呼び名
成れの果てに乞われ
無駄な遣り取りに小一時間を要して
窓の外
空が白むまで煙をくゆらせ
ただただ横になりながら眺めてた。
本当はね、一人だって事足りてた。
小さな寝息を立てる
横面が酷く穏やかで
言い知れない呵責
暫く視線を外していたんだ。
本当にね、一人のままで良かった
聞かせられない有りの儘の己の総て。
交わる事が罪で無く
交わる様に仕組まれ
一人で充分機能していた体が
突然、悲鳴を挙げるんだ。
有り体に云えば
これは継続する為の
生理現象なのだと。
君は誰を愛してる?
気持ち解釈でいけるだろう
この体は、その生態は、そう
ひたすら己を甘やかし続けているだけなのだろう。
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愛を肥やし
数を増やし
まっさらな大地で
人は人と言う獣
区別し
分節し
いがみ合い
減らし合う
思考と言う構造に
自ら飛び込んだ獣
迷い込むその手を
捻ったのはどんな獣だったか
多種多様な獣が
長い年月を掛け
踏みならして来た大地
その上に私は腰掛け空を見てた
思ったよりも
愛とか命はシンプルで
ただただ空洞を見つめて
今を呼吸するのみに在る
複雑にのめり込む必要は無さそうだ。
何故なら思った以上に空洞だったからだ。
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思いの全てが滲んだスープ
暖かい温もりに変わる四肢を得て遊ぶ鼓動よ
かいつまんで話して御覧なさい
懺悔や謝罪の意を優しく包んであげましょう
仄暗いビニールプールの中で
魚はどんな夢を観るのでしょうか
嗅ぎ慣れない香りに満たされて
おぼつかない動きで光を求めなさい
知り得てきた情報や知識が無に帰して
あなたはこれから英知の雛となり飛び立つ
呼吸すら違う暖かさも違う
無条件に排出され無条件に得る事の出来る様
あなたは自由だ
そして長い間乞う事になる愛を
どんな形にだって自由に形成できる
憂う事なく悲鳴を挙げよう
破裂の音は怖いだろう?
外気の冷たさが怖いだろう?
だけれどあなたは自由だ
無条件に与えられる愛、その暖かい両手に身を委ね
愛に喜び満ち溢れよ
歓喜の悲鳴を挙げよ
終わりなど無いのだ。
ずっと始まりを君は手にしていて
生を全うする自由な鳥のように
満ちよ育てよ愛の命
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困ったさん
世話焼きさん
怒りんぼうさん
泣き虫さん
君たちの名前は忘れてしまったけれど
おせっかいさん
けちんぼさん
寝坊助さん
ひねくれやさん
君たちの顔はあの頃の若いまま
さびしんぼうさん
食いしん坊さん
ぶりっこさん
わがままっこさん
年老いて
忘れんぼさんになった
元いやしんぼさんの僕の頭に生き続けている。
苗字とか忘れたけどね、声も微妙に忘れたけどね
君たちはまだまだ若いまま僕の中で生き続けている。
まだ僕はね
卑しくもまだ生き続けているよ。
だからまだ僕は
君たちにとってのいやしんぼさんだよ
僕の苗字や声なんて忘れてていいよ
ただ君たちの頭の中の僕は
若いままで生き続けているんだよね。嬉しいよ。
ありがとさん
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時の流れに身を任せと歌った人がいた
時の流れは残酷だと嘆いた人もいた
どちらも然り
僕は今、平穏
何もない
捨ててやったさ
社交性は学生時代から赤点さ
それでいいやと追試も受けずに投げ捨てた
だけども、どうだ?
毎日楽しいか?
村八分の様な
苦痛でしかない空間で
ひたすら悪目立ちしないようにと業務をこなし
帰る時には死にたくなるような虚しさに苛まれて
幸も不幸もなく
明日の仕事の為に寝て
また憂鬱な朝日が昇り巡って
時の流れに身を任せるどころか飼われて、数年何とも変われない
時とは残酷さと思えるようなドラマティックな筋書きもないままに筋通らぬ生き様は不様ね
痛いのが怖いくせに
死ぬその日をただじっと待ちわびてる
きっと負け犬にすらなれない。吠えないし噛みつきもしない。
平穏無事とはちょっと違う
平穏に心が蝕まれてゆく痛みに怯えてる。
ちゃんと人間をしたい。
この負の力でお湯でも沸かせたらいいのに。
太陽が落ちて
駅まで徒歩15分
僕は無性に死にたくなった
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もどかしくて寂しくて口を吐いた本心の一部を
貴方は枯れた声
頷いた相槌で受話器から途切れた。
仕事場から覗いた貴方の髪が酷く伸びきっていて、仕事に追われる姿を容易く想像させた
本当にズルい。
誰かが言った
“不満ばかりを吐く女のところに愛する人は居着かない”って
夏懐かしく感じる
気が付けばもうすぐ秋になるんだね
ベンチで横に並んでも、貴方が遠く感じて笑えないの
紡ぐ言葉はどこか遠慮がちで
まるで私ばかり寂しさを押し付けてるようで
恋が終わる
貴方は笑わない
私もね笑えない
いつからこんな風になっちゃったの?口を出そうになる本音に憎悪して
もう貴方の前でどんな顔していればいいかなんて分からないの
煩わしいと思っていたら
遠慮なく私を打ち捨ててよ
ごめんね。言えないの。
私からは好きだったって言えない
キッカケを待つだけの女ってそれこそ煩わしいだけ。本当にごめんなさい。
この恋がなくなってしまうなんて
今は想像に近いのに思い浮かべたくもないの。
なのに
上手に出来なくてごめんね。もう少し待っててほしいの、ごめんね。
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受話器越し
なんか切ないねって君が溜息を吐いた
ワケを尋ねるタイミングは無く
通話はオフになってた
お互いの生活もあるしと気丈に振る舞う君の笑顔は
こんなにも遠き日のように感じさせていた
夏が終わり
なんとなくノスタルジックな気分にさせる秋になった
髪を切りに行くタイミングすらも分からず黙々と日々をやり過ごしてきた
誰かが言った
“会えない時間が愛を育てる”と
君の笑顔が見たくて夜中会いに行ったのに君はちっとも楽しそうじゃなくて
互いに社交性を試されるが如く余所余所しい会話を口を吐いて出て
僕たちはちょっと前までどんな会話を折り重ねてきたんだっけ?
君はちょっとだけ無表情が上手になってた。
恋が終わる
君が笑わない
僕は笑えない
いっそのことちゃんと三行半を突きつけてほしい
君が僕の口から聞きたいんだとしたらあと少し待ってて
最後まで情けないやつでごめんね
僕は嘘の笑顔や嘘の感謝なんてやっぱり口に出来ない
綺麗なままで恋が終わるだなんて
それこそ詭弁な気がしてならない
今は何も言えないよ。支えてとも言えない。
いつになれば報わないすれ違いを止めて、愛が育つのか誰か教えてよ
君の特別じゃなくてごめん。
僕の特別って言えなくてごめん。
報わないすれ違いが僕らの成長を止める。愛なんて育たなくても、まだ踏ん張っていたい。ごめんね
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幸福の在処に敏感ならば
あなたの笑顔は美しいのでしょう
不幸の比重に敏感ならば
あなたの視界は暗いままでしょう
欲を食らい、我を愛し、温かい場所ばかりを求めるならば
時として
欲を馳走し、他者を愛し、凍える場所で静かに春を待ちましょう。
針の先程度の幸せの穴ぼこを探すより
落とし穴だらけの大地で飛び跳ねて居た方が
それはまた面白い事ではありませんか?
人を笑うな
笑われても温かい気持ちさえ失わなければ
君は美しいままで明日を迎えられる
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こんな水に囲まれた綺麗な箱に
一億五千万もの景品があるなんて衝撃的。
僕らが家屋解体で使ってる処理用クレーンで三振りして
一つ残らず掬ってみようかしら?
あーダメだね
この一億五千万もの景品たちは
自分の価値すら見失っているね
自信があっても無いフリしたり
主体が少数に転がっただけで集団で価値を否定したり
みんなが良しと言うなら曲がらなきゃなんて変に強制的な力が
一億五千万が個々に放つ輝きの全てを堅く内側に閉じ込めて狭い世界すし詰めバーゲン状態だ。
世界をぶっ壊す?
それとも掬ってみたりする?
景品は更に美しく綺麗な小さな景品をこの地に生産する
わたしゃ神様じゃないよ、ただの通りすがり宇宙人。
綺麗な惑星
綺麗な個性
産声を挙げた知性
大切になさい。
僕らが掬ってみたいと思える輝きを維持しなさい。