詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
かごめ かごめ…
真夏の午後の蝉時雨。
婆ちゃんが素麺茹でたから早よ帰ろ。
砂利道三差路の田圃道、右行きゃ木陰の並木道。
誰かが描いた蝋石の、
けんけんしながら帰りましょ。
日が傾いたら気ぃつけろ。
逢魔に逢うから気ぃつけろ。
角に佇む煙草屋の
ばぁちゃんがくれた砂糖菓子、
いがいがだらけの砂糖菓子。
口に頬張り帰りましょ。
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赤く色付く顔。
熱を持った身体。
とろける口元。
柔らかな肌。
傍にきて、ただ無我夢中に皮膚と皮膚を密着させれば
すでに脳内に膜が張り出し、総ての思考を麻痺させる。
寄せ合えば温度で触覚を魅了し、嗅覚を刺激し
交われば沼にぬかるむが如く聴覚・視覚・味覚…全てが深く深く沈み込んでゆく
ヒトがヒト科として
雄蘂が雌蘂と必然的に出会うように
この感覚が襲いかかる。
だから私はこの麻痺した身体の仕組を愛している。
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僕の飼い主のおじいちゃん。
時折僕の名前を間違えて居なくなったおばあちゃんの名前を呼んで
僕には理由が分からないけど、その時おじいちゃん悲しそう。
僕の飼い主のおじいちゃんは僕と同じ。
僕も、おじいちゃんも、ベランダが好き。
昔おじいちゃんと子供がここで駆けて回って遊んでたんだって。
最近おじいちゃん腰が痛いって言って、ベランダに出ないの。
日に日におじいちゃんはぼーっとする回数が増えたの。
僕にはおじいちゃんの気持ちが分からないけど、何となくおじいちゃんの側にずっと居たいの。
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いつから君は枕の下に携帯入れて寝るようになったの??
それは何かのジンクスですか?
『夢に携帯電話が出て来ますように』ってか?馬鹿野郎!!
私には数秒電話で用件言うだけで終わるのに
君の携帯は枕の下で延々地響き立ててる。
見慣れぬ名前の店のマッチや
そわそわした君を見てるのは
真っ白な雪原に墨をぶちまけたような気分にさせるのよ。
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寒くなってきたね。
面倒くさがりだからまだ半袖で過ごしています。
どこに冬物が入っていたか判らないから…。
何もする気がおきないから
また寝ながらテレビを付け見てます。
前までは君が
付けっぱなしで寝てるとテレビ消してくれたんだけど…。
外は秋。
何だか窓の外が静かになった。
こんなに綺麗な青空なのに、君に会いにいこうとすると
急に冷たい風が吹き付けて灰色の雨…。
傘はどこにしまったの?
違うよ、玄関にかけてある傘じゃないよ。
君と僕が一緒に入ってた傘の事。
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どうやらピントが合わないみたい。
だからもう一回笑って
おかしいな…、
何度取り直しても君がぼやけてしまう。
ほら、カメラが廻ってるんだから動かなきゃ。
あれ?上手く君がフレームに収まらない…。
私は知っていたよ。
一人になって何度も何度も確認したから。
ほら、一年で君と撮ったフィルムがこんなにたくさん。
でも何でだろう。
再生しても、早送りしても、巻き戻しだけは上手く出来ないの
…私は知ってしまったの。
もう戻ってこないから、巻き戻しが出来ないって。
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早く君の風邪が良くなってほしい。
でも、そのまま部屋で寝こんでてほしい。
誰かに会いに出かけてしまわないように…
昨日あんな冷たい雨の中何を待ってたの?
きっと君にとって大切な誰かが傘を持ってやってくるのを待ってたのかな…
話を聞きたいけど
もう今の僕には出来ないから。
君をそんな風に敏感にさせたのは
きっと未熟な僕のせいだね。
君を冷たくあしらって
逃げた僕なのに…。
でも君を誰にも取られたくない。
無いもの強請りな馬鹿な僕。
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あの日に感じた事を
君にどう伝えようか考えてるところ。
君が泣いたり笑ったりする訳に
少しでも僕が居たらいいななんて。
明日は頑張ってでも仕事を早く切り上げるから
どうか他のヤツと約束なんか入れないで。
君が笑った。
僕はそれだけで自分の事が好きになる。
君が泣いた。
僕はそれだけで自分の事が嫌になる。
だからもっと一緒に居たい
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僕のは常に乾いていて、上手く動かせないから
たまに
劣化しまったと錯覚し、腐った音を君に吐き出して仕舞う。
君のは雪のように冷たくてなめらかで、
笑顔の節々に
ひどく心が凍るブリザードを僕に吹き付ける。
ねぇ僕の事愛してる?
僕の“これ”と
君の“それ”は
絡め合ってゆっくり解ける。
嘘を吐くと“それ”は冥土の国で切られてしまうらしいよ。。。
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蟻のように規則的で
機械のように正確で
右回り?左回り?
家から仕事へ?仕事から家へ?
街を行き来する長い人の列。
時計の針が5を指します。
『あ〜ぁ、時間切れ。』
鉄製のドアが開き、長い機械製の箱から溢れかえる。
僕が人に埋もれてく
僕が蟻のように埋もれてく。
これは明日も変わらない。