詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][得票][編集] |
湯たんぽで火傷したバァちゃんが
ある日僕の母ちゃんになりました。
バァちゃんはバァちゃんなのに
僕はそんな違和感でバァちゃん家の生活に馴染めなかった。
湯たんぽで火傷したバァちゃん家の冬。
寒くても暖房器具などは無くて
寒い夜はこうして眠るんだ…と
バァちゃんは黙って泣きじゃくった僕の背中をくるむように暖めてくれた。
バァちゃんが好きです。…でも、
僕の中で母ちゃんが一杯で素直にありがとうが言えなかった冬。
湯たんぽで火傷したバァちゃんの足は
年々枯れて細くなった気がした。
そんな僕の中学時代。
気が付けば僕は
風邪ひいた訳でも無いのに声が低くなった。
バァちゃんは何故か喜んでた。
湯たんぽで火傷したバァちゃんと
同じ布団で眠る事が無くなって数年。
僕は大人になった。
バァちゃんは仏様になった。
叔父さんがそう教えてくれた冬。
僕の独り所帯の布団は寒くて
初任給で奮発して湯たんぽを買った。
今はバァちゃんと同じ場所に僕の足には火傷のあと。
やっぱり湯たんぽは必要なかったね。温もりは必要だけどね。バァちゃん。