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まとりょ〜鹿の部屋


[239] シンカイギョ
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

廻る生命の連鎖
包み漂うピンク色珊瑚のベッド
一等星はただ一つの輝きで
底深い水辺を暖かい群青に染める。


ちょこんと尖り出た五つの骨が
日を増す毎に形を露わにして
アナタを求め何度も水を掴み取る。


囁きにも似たアナタの心音
語りかけが
こうもダイレクトに緒を揺らせば

まだ形すら知らぬ
己の姿が待ち遠しいと
水を目一杯揺り返し
アナタに生命のシグナルを発する。


ワタクシは
名を持たぬ一粒の種子
そうワタクシは
愛の海に包まれ育む
名を持たぬシンカイギョ。

地底から流々流々
赤いリズムを刻むマグマが
より母なる海、アナタの存在を大きく示す。


海深く闇に覆われ
一人ぼっちな筈なのに
不思議とこの目は
日を増す毎にクリアな展望を遂げ、

この先に
アナタとの対面をと
示唆する証と感じずにはいられない。


ワタクシは
名を持たぬシンカイギョ。
名を持たぬ訳はきっとアナタに出逢えば
きっと名を持たぬ理由になる。


いつかワタクシが
この母なる深海を狭く感じた時
一等星に手が届く。

一等星が太陽のような輝きを放ち
ワタクシは母なる深海を放たれる。

毎分夢に見る
母なるアナタに
やっと出逢える。


シンカイギョはシンカイギョではなく
母なるアナタと同じ形でその暖かい腕に抱かれる。

だから外はきっと寒くなんかない。

その日までワタクシはシンカイギョ。

生命を紡ぐシンカイギョ。

2008/03/25 (Tue)

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