詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
春生まれの君はいつの間にか
立派な大輪をその芯に宿し
巡る季節の中で芽吹き輝く。
25年にもなる
僕も大分、おじさんになったようで
たまに君のする話が分からない時があるけれど
唯一これだけはずっと知ってるよ。
君はいつも天一杯に両手を広げて
届け届け、と羽ばたく者たちにエールを送る。
「もう、しな垂れちゃって、私まるで柳のようね」
そうやって肩を落として悲しそうに笑う君。
君を悲しませるのは空を自由に行き交う者達か
はたまた、世間の夜風がまだ冷えるからなのか
「お願い、ちょっとだけ夢を見させてほしいの」
青葉が枝先から少しづつ空へ向かうように
見上げ続ける事に諦めを付けないでほしい
いつか実を結び
飛び去った者達が戻り
囀りの絶えない居場所に
君は安らぎと、微笑み絶えない人になりなさい。
君を《止まり木》と呼ぶ者が喩え居たとしても
憂う事は無いんだ。そのままでいい。
僕は知っている。
君は止まってなんかいない。
いつだって青い空を睨む。
その眼差しがまた
暖かい春を呼ぶことも
僕はちゃんと知っているから。
kikaku2013「梢」