詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
空き缶のように放り投げ出されて
あなたは振り向きもせず走り去っていった。
私の真っ白でサラサラの毛も灰色になってガサついて
ご自慢の長いしっぽも何処かに置き忘れてしまったの。
まだ微かに残る
この赤い首輪に染み着いた元いた場所の匂い
寒くなるとあの腕の温もりをあやふやに思い出しては
届くはずのないあなたを必死に呼ぶの。
ビャ〜ッ ビャ〜ッ
昔はもっと高い音であなたの足元で鳴いていたような気がする。
ビャ〜ッゴ ビャ〜ッ
もう誰も私を呼んではくれないから
あなたが付けてくれた私の名前、もう思い出せなくなったの。
私を棄てたあなた。
私がこんなふうに私を忘れてしまうなら
いっそあなたと居たあの綺麗な時間に
綺麗に思い出が残ったまま、あなたに殺されてしまいたかった・・・。