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璃星の部屋


[86] 恋心
詩人:璃星 [投票][得票][編集]

水滴にまみれたグラスに
融けた氷の音が響いて
読み取れない眼の奥が
少し翳った気がした

幼いなんて理由は
ただの言い訳にしか過ぎなくて

「仕方がないの」と割り切るキミのほうが

よっぽど大人に観えた


このままキミと別れて
キミの手を離して

そうしたらキミは
どうなるんだろう


僕があげたピアスをはずし
似合うと言った口紅の色を変え
一緒に行った映画の半券をすべて捨て

そうしてまた違う誰かに出逢うのだろうか

それとも
これが最初で最後の恋だと
想い出にしがみついて
眠れぬ夜を過ごすのだろうか




すっかり融けた氷は
アイスコーヒーを少し薄めて
頼りない風になびいた
キミの髪とおんなじ色

永遠なんて言葉は
約束の言葉にしては不確かで

「幸せに」と告げたキミのほうが

リアルを受け入れている気がした


このままキミと別れて
キミの手を離して

そうしたら僕等は
どうなるんだろう

一緒に歩いた場所に二人で行くことはなく
ペアで買った指輪もはずさなければならない
合鍵はキミに返して

そうしてお互い記憶から薄れていくのだろうか

それとも
またいつか何処かでと
望み抱いて
街中にキミを探し続けるのだろうか

2006/08/14 (Mon)

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