詩人:みずの | [投票][得票][編集] |
今日はどんより曇り空
天気予報で言っていた通りに
朝から沢山の靴がとめどなく降っている
木にはサンダルが引っ掛かり
道路には革靴があふれ
屋根にはヒールの高い靴が沢山のっている
除雪機があわただしく働いている
髪がボサボサの奥さんがたえきれずに
『この靴なんとかして!!』
と、ヒステリックになっている
缶詰にヒモを通したぽっくりを
背中丸めて履いている
自分に合った最高の靴を求め
少しでも合わないと見向きもしない
そうやっているうちに50年も経ってしまった
あわれに思ったちょんまげ頭のまいちゃんは
『革靴は履いてるうちになじんでくるものよ。
自分からも合わそうと努力しなくちゃ最高の靴なんて一生見つからないわ。』
『それに目の前にあるゴミだと思ってる物はちゃんと良く見ると宝物かもしれないのに。』
と、教えてあげた
まいちゃんはリボンの付いたとても素敵な赤い靴を
友達のように大事に心地良さそうに履いていた