詩人:弘哉 | [投票][編集] |
哲学に没頭し始めた俺には
難し過ぎる言葉遊び
理想が高過ぎて現実が伴わない焦燥
納得出来ない
ダメ
ダメ
ダメだ
未完成な魂ばかり産み出して
一向に先は見えないまま
俺は詩人にはなれそうにもない
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いつだって遠回りで
結果が見えてから過程を後悔するばかり
「次こそは」
なんて到底叶いようもない無謀な願いで
結局最短距離の道など見えないままに
どこへ行きたいのだろう
行き先は見えず
どこへ行き着くのだろう
遠回りの末に
限りある時間は過ぎていく
広大な空の下
今日も無駄に時間を食い潰す
俺はただの寄生虫だ
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薄く口を開いて言葉を発した
人ごみの空気に紛れて消える
音声
感情
すべてひっくるめ
居場所が見当たらなくて
穴を開けようとした
俺という穴
ポカンと口を開けた穴
密集した人々の真ん中に
ぽつん
黙殺された居場所
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俺の名前っていつから『嘘つき』になったの
本名なんて忘れました
隣から聞こえる騒音のせいで
自室にいたくありません
あの人が発する騒音がうるさくて
眠ることさえできません
『嘘つき』が胸を締め付けたんだ
気付かない内にその名前にも
返事をするようになっていました
あの人の発する騒音も
聞き流せるようになりました
俺の名前ってなんだっけ
風呂場には届かないから
あの騒音も届かないから
きっかり一時間半
湯ざめでぐしゅぐしゅ言ってる耳に
届いたのはいつも以上の騒音
「嘘つき、いつまで入ってるの!!」
安息の地ってどこだろう
名前はたぶん必要のないものなんだね
俺もあの人の名前なんて思い出したくない
俺もあの人の名称なんて覚えていたくない
あの人が一般に
「母」だなんて呼ばれてるってこと
忘れてしまいたいんだ
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内側から 壊れていく音がする
ガラガラ ガラガラと
何かで手を抜き
それでも足りなくなった容量を
埋め合わせるために
内側から 壊れていく音がする
中毒者並みの量の薬を
毎日体内に取り込むことで
なんとか機能させている
肺に腸にその他諸々
俺は
生かされているのだろうか
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夕方の真白い空に浮かぶ月
僕を見透かすようにそこにいて
ただ一個体としての僕さえも
否定されているようで
僕は立ち歩き 話すこともできるというのに
月を遮り立ち尽くす
テレビ塔のアンテナの
ただ一本にさえ
人に与える影響力では劣っているというのか
情けなく
そんな思いを抱えながらも
何をすればいいのかなんて浮かぶはずもなく
あのアンテナを ただ 恨めしく思うだけ
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居場所を求めて
携帯に依存して
現実を手放せば
居場所を取り上げられるだけ
何にすがればいいの?
俺は必要ないの?
どこにも居場所はないというの?
どうしてそこに
追いやられたと思っているの?
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アイデンティティの確立なんてとうに済ませた
自分は変わり者の道化でいい
いつだって誰かを笑わせる役目がいい
だけど少し疲れてしまった
それを他人のせいにする気はない
限界がきただけ
人のためにならない道化なんていらない
なんとなく分かっているよ
もうすぐスクラップになるだろうことは
ただ
空を飛びたかったんだ
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かけがえのないものを失って
またひとつ歳を重ねた
日々に追われる苦痛を浴びることしか学ばずに
俺は消えてしまうのだろうか
アイデンティティなんて小難しいものを一心に追い求め
結局何一つ得られぬままに
群衆の底辺に埋もれていく
果てしのない孤独感から逃れられない
何度言い聞かせたって
自分への説得は真実味なんてなく
ああ俺は
誰からも必要とされていないんじゃないのかと
無意味な問答を繰り返す
どうしたって答えはないのに
悪魔の証明とわかっていても
確かめずにはいられない
隣に当たり前にあったぬくもりが
今はないから
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まるで心を覆うように
かぶさるのは行動
「真意」はいつだって「見た目」に隠される
どんな風景を心に描こうが
伝わるのは言葉と行動それだけで
人間の行動はすべて「見せかけ」で
本当の思いなんて誰にもわからないのかもしれない
見かけにだまされる自分も
結局は見せかけの行動で思いを隠す
一瞬の表情に垣間見える本音を
どれだけの人間が気付けるというのだろうか
人間の行動はすべて「見せかけ」で
本当の思いなんて誰にも届かないのかもしれない
そんな事実で逃げ道を作っては
夢物語のような理解者を求める
リアリストには 未だなれない