詩人:弘哉 | [投票][編集] |
手垢にまみれたフレーズを
かっこいいと使い回して
それを見て見てと振りかざしていた
そんな精一杯の詩が
どうしようもなく稚拙で
でもきっと今だって
大して変わっていないこと
思い返して恥ずかしくなって
けれど大切に抱きしめてあげたくなった
ものの見え方も感じ方も
それを言葉にする力も変わってしまったけれど
きっと根本の私はここにいる
ただいま
迎えにきたよ
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不確かすぎる確実を追い求めて
定まらない行き先
理想と現実なんてありふれた言葉に染まった
不透明に霞んだ明日が
積み重ねられなかった昨日が
じわじわと今を殺すから
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猫を3、4匹被った【いい先輩】が言う
「したくてしてるわけじゃないんだからそんなこと言ったら可哀相だよ」
誰かを嫌う【本音】が言う
「なんであんなやつに気かけてやんなきゃならないわけ?」
外面で生活する【お祖母ちゃん子】が言う
「早くよくなってまたお琴教えてね」
介護に疲れた受験生が言う
「こんな時期に死なれたら困るし」
はっちゃけまくった【ムードメーカー】が言う
「だって人楽しませるの好きだしなっ」
人の笑顔が好きな【エゴイスト】が言う
「あいつらこのくらいで笑うなんて単純だよな」
自己顕示欲の強い【ナルシスト】が言う
「今日も俺は可愛い」
プライドの高い【臆病者】が言う
「誰にも好いてもらえないから自分が褒めてあげなきゃ崩れてしまう」
吹っ切れた顔した【独り者】が言う
「新しい恋に生きるから」
毎夜思い出ばかり眺める【プレイボーイ】は言う
「あいつ以外の愛情なんて意味がない」
周りを気にかける【友達】は言う
「いつだって友達だよ」
メールを開いた【友達】は言う
「またかよ、うぜぇ」
どこに重きを置けば
誰も傷つけずにすむの?
そう、偽善者じみた【俺】が言った
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私が捨てた何かを君は拾う
私が殺した何かを君は生かす
同じ場所に立って違う景色を切り取り
見失った答えは他の誰かが持っていて
共に描く夢は
どんな軌跡を辿るのだろう
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「全部わかったフリなら得意分野です」ってそう言って
微笑んでいた君さえ今はもうつまづいているでしょう?
ひけらかした心の闇はいつも
不自然すぎる弧道描いて
「解り合うつもりもないし解られたくなんてない」
そんな風に自分に酔ってにやついてる口元
どこにも進めぬまま ただ
you lost your way
「不幸自慢は大嫌い」と話したその横顔から
滲んで見える溜め込んだ矛盾の塊突いてしまいたい
さまよってる心の檻の中で
膨れ続けた鼓動響いて
「日々は繰り返しで続きただ無意味でしかない」
そんな風に自分に酔って悟れてない事実が
ここにも存在していた
I lost my way
「解り合うつもりもないし解られたくなんてない」
そんな風に自分に酔ってにやついてる口元
どこにも進めぬまま ただ
you lost your way
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面倒だと言って連絡を絶ち続け
とうとうメルマガしかこなくなった携帯電話
ランプが点灯するたび慌てて開いては
目に映った内容に落胆する
新しく友達を作って
毎日100件を超えるメールのやり取り
相手に自分を知られるほどに面倒になって
ろくに返信もせず連絡を絶ち続け
とうとうメルマガしかこなくなった携帯電話
メモリばっか増えていく
俺は何一つ成長できやしない
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ただ今という瞬間におこる幸せが
崩れる危険性を常に孕んでいる不安
石橋を叩き壊してから
「ああやっぱり危険だったんだ」って
そんな意味のない繰り返しで生きている
どうしようもない心配症は
自分の心の内にだけしまって
他人には馬鹿みたいに明るい自分を振りまいて
そうして誰かから好かれようとするだけ
二面性とかそんなかわいらしいものじゃない
本当か嘘かなんて自分にさえわからない
偽りの自分とか
真実の自分とか
見せかけに内面に偽善に真意
典型的な「自分は特別」思想でかためて
得意ぶって特異ぶって
そしてそんな自分に不安になって
何を得たかったのか
何も得たくなかったのだろう
変わらない自分に安心して
変われない自分に苛立って
見せかけだけは明るくなった
人と「同じ」になって
浮かないように振舞って
自分をなくさないように「内面」を作って
どこまでが境界かわからなくなった
この感情が不安なのかさえ
やっぱりわからないままで
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中二病の典型みたいに
恥ずかしげもなく
好きなもの人間
嫌いなもの人間
と 言えてしまう
人が好きで好きで仕方なくて愛してやまず
愛されたくてたまらず叶わず憎らしい
不幸自慢は嫌いだと言いながら
過去や生い立ちを引きずっているのは自分自身だった
他人事には限りなく理知的になれるけど
本当は大した頭脳も思考も持ち合わせちゃいない
字面はいくらでも修飾できるけど
話すとき咄嗟には何も出てこない
所詮はちっぽけでしかないんだ
自己を求めるのは
思春期にありがちと言うけれど
幼いころからいつだって
自分の居場所を求めてきた気がする
自身の境遇を呪いながらも
悲劇の真ん中に立てることに喜びを感じてやいないか
本当の自分は
もっともっと汚い人間なんじゃないのか
渦巻く思考はいつだって俺を苦しめて
荒むほどに馬鹿らしくなる
いつも何かを批判して
周りのせいにして自己を保つ
たくさんの過ちを犯し
罪の数だけ色々なものを失ってきた
失って初めて気づいた景色
何気ない日常が美しく見えることに気づけたのは
すべてが消え去ったあとだった
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なんだかんだ言いながら
今日もまた眠れなかった
日が登り出す時間まで起きていてしまった
寒い
足の爪の先が凍りそうだ
身体を小さく折り曲げて丸まって
それでもちっとも暖かくなりやしない
ああいっそ
このまま凍えてしまえれば
心さえも凍てついたなら
思考をやめ
そうして眠りに堕ち
そのまま目が覚めなければいいのに
深い眠りの底で消えてしまえれば
そうすればいっそ
潔いかもしれない
ただ気づいてほしかった
寂しかった
悲しかった
温かい両腕に包まれることを望んだわけじゃない
ただ気づいて
優しくなでてもらえれば
それだけで
笑顔になれただろうに
寒い
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贋物のぬくもりでも頼りたい
逃げ場のなくなったこの状況で
誰にも愛されないこの性格を
贋物でもいいからただ包んでほしかったんだ
ひたすらに孤独を嫌った
一人が怖かった
追いすがってでも傍にいたい
そんな思いが俺のすべてだった
嫌われることしか知らないこの体
嘲りしか知らないこの心に
一筋の光を
一欠片のぬくもりを
贋物のぬくもりでも頼りたい
シルク100%なんて望んでいないから
ただ擬絹糸を
優しく包んでくれるぬくもりを
どうか