詩人:弘哉 | [投票][編集] |
優しい分家の叔父さんが笑って教えてくれたこと
俺が産まれたときのこと
『見舞いは誰一人行ってない』
とても簡単なことだった
勘の良かった子供の俺は
生まれちゃいけなかったことを知る
年々増える祝福の灯は
吹き消す度に教えてくれた
俺は存在しちゃいけない
今夜も吹き消す灯を想う
本家の祖母は笑ってた
姉貴を撫でて言っていた
『あんたは必要な子なのよ』
ひねくれ育った子供の俺は
忌み子の存在を一人知る
遅すぎる存在を一人知る
本家の長男夫婦の息子
跡は継げない忌み子の子供
何も知らないはずの子は
知ってしまった
それ故に
今日は俺の生まれた日
あってはいけない誕生日
大人のエゴを抱えた俺は
年に一度の涙を流す
何も知らない子供の俺は
灯を消しながら一人泣く
今日は俺の生まれた日
あってはいけない誕生日
期待してない祝福は
瞳の奥に宿ってる
俺は生まれちゃいけないと
誰が決めたというのだろう
自身が引きずるこの想い
捨てれりゃ幾分楽だろう
あってはいけない誕生日
俺の生まれた今晩は
俺が生きると決めた日だ
何と言おうが構いやしない
俺は生きるさ
生きてやる
忌み子は誓う
己の存在を堅く誓う
何と言おうが構いやしない
ここにいるのは必然だ
生まれたのだから生きてやる
傷痕一つ無い手首
強く笑うさ
生きてやれ
俺は俺とし
生きてやる
今日が俺の生まれた日