詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
出来事はすべて
はじめ
なか
おわり
で成り立つのだと 大昔の偉い人が言った
物語とは現実とは
すなわちそれの集合体に過ぎないと
成る程ね…
じゃあさ 壁に頭をぶつけた時の はじめなかおわりって?
空を ふと見上げた時のはじめなかおわりは?
確かに ある
かな
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心がくしゃみをしただけで本当に 寝込んでしまう人がいる
心が寝込んでも 身体は元気でニコニコしてる人がいる
世間では 前者は弱い人
後者は強い人
ということになっている
どうやら後者の方が社会に必要とされているらしい
意思が強いのはどちらなのだろうか
自分をちゃんと考えてるのは?
望ましいのは…
正しいのは…
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きっと私は
不器用なんじゃなくて
不器用でいたいだけ
なんでも器用に、っていう合理主義は…とても苦手
でもそろそろ
生きるためなら
少しだけ器用になってもいいはずだろう
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解らないから
怖い
世界のこと
自分のこと
すべて知ることができたら、恐怖は消える
でも、もし世界のすべてが一発で解るボタンがあっても
たぶん 怖くて押せない
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世界のことは
もう何も知りたくない
売れ残りの弁当をゴミ袋に投げ込むコンビニの店員
昨日の焼身自殺の死体は臭かったなぁ とか笑いながら話してる 警察官
図書館で戦争の写真を見てはしゃぐ子供たち
私は平和に
息をしていたいだけだ
何も感じたくないのに
何も考えてないのに
手足が氷みたいに冷たくなって
身体中からベタベタした汗がじっとり染み出す
何もかもが、冷えていく
私には関係ない
私には関係ない
呪文みたいに繰り返し
その光景を忘れるために
枕に埋まる
もう 何も知らなくて
いい
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はらはらはら ふさっ
かす かさ ししし
落ち葉。
かつん から り たん
ばらばら ことん
積木。
さら つんつん
しっとり ほわっ
くすん
きみ。
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私の記憶はどれも散漫
どこにいけばいいのか分からない物達で溢れている
足の踏み場もないこの部屋と同じ
まるで詩を書くためだけに用意されているような多くの断片
あんなことあったね、と いうと
そんなことなんてあったかしらと彼らはいう
私が正しいと思っていた
最近そうではなかったと分かり始めた
たとえば 小さい頃
ひっくり返してしばらく待つとピョーンと飛び上がる小さなゴムのオモチャ
カラフルなそれが、いっぱい積み上がって子供用の棚に乗ってるようすが焼き付いているけど
私は そんなにたくさん持っていなかったはずなのだ
いつか見た夢を現実と思って、信じた
だから
煙り掛かっていると思ってた冬の餅屋も
アパートからみた砂のピラミッドも
たぶん本物じゃなかった
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古い音楽と回廊が駅で出会う幸せな夢を見ても、
ずっと昔に割れたコップが、邪魔
まだ絵は描けない
それでも乾燥した油絵の具を、油で溶いて、パレットに広げる
それはやがてまた乾燥する、だけどもう
気にするのはやめる
これから旅立つなら
荷物を減らそう
大好きな洋楽三枚と
アロエのクリーム
痛み止め
つるつるのヨレヨレのハンカチ
ベンハーのビデオ
絵の具
他にはもう要らない
黄土色の大きな不必要に角張った冷蔵庫
あの中にぜんぶしまおう
きっと大きなゴーゴーという音にびっくりしてみんな大人しくしているだろう
そして
意地を張って居留守を決め込んで、ボロボロだった あの古い夏の夜に行きたい
あの人との会話を最初からやり直して 本当の
気持ちを確かめる
私は子供じみてなんか、ないから
夢なら自分勝手に抱きしめるけど
現実ならそうはしない
抱きしめたら気持ちいいはずと分かっても
する訳ない
でもさ なんで
食べても食べてもお腹空いちゃうんだろ
グラタンとバターロールがこんなに腹持ち悪いとは知らなかったよ
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冷たい夕暮れ
けやきの道
とても小さな彼女は仲間外れにされて帰った、
両手で目を擦って
肩を小刻みに震わせて
いつもその娘は
一人で帰った
虐められていた
窓越しに一瞬見ただけのはずの、肩までの髪とピンクのポロシャツの後ろ姿
焼き付いて離れない
放課後
私は眺めた、止めなかった
私が年上だったのに
私はその子が大好きだった
どうしてやりすごした?
みんなで一緒に遊ぼう、帰らないで、
簡単なはずだ
あの子に、どうしてそう言わなかった?
もう一度 やり直せるならけやきの道を走って
あの子を追い掛ける
ほら、あの子の後ろ姿が泣いてる、助けるから絶対、待っててね
あなたは一人なんかじゃない
ほら、帰っちゃうよ?
やっぱり、泣いてる
動け、私の身体、お願いだから 動けドアをあけろ早くしないと
動け…早く、小さな肩を掴んで…腕をのばせ!
そして一度もその肩には触れられないまま
ついに夕闇の底ですべてが見えなくなる
ごめんなさい
許して、ゴメンね
大丈夫、もう一度…
今度こそは…
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なんとなく
かっこよさそうな物を作ってみた
人々は、なんとすごい芸術だといった
なんとなく
素晴らしそうなものを作ってみた
人々は、世界一の芸術だと絶賛した
僕は
なんとなく
世界一の芸術家になった