詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
本心を言葉にしたいという思いと
すべてを失いたくないという思いが
等しかった
いてもたってもいられず
海底の家に逃げ込んだ
ところがその家では呼吸すらできなかった
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助けて下さい
私は、生い立ちがとっても不幸なんです
片親で、学生時代は貧乏で、虐められたんです
太っていて顔も悪いし
取り柄もひとつもない
性格が暗くなっちゃったのはこういう訳なんです
いつも過去の嫌な事が忘れられなくて
死にたくなっちゃうんです
もし顔がよくて
痩せていて
父さんもいてくれて
嫌な思い出が一つもなかったら
私は普通の元気で幸せな大人になれたんです
私はこれでもがんばってるんです
精一杯やったんです
でも、もう少し優しくされたらたぶんもっと頑張れる気がするんです
だからこんなに不幸な私をどうか助けてください
詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
ぶどうはおいしい
もきもぎ、ぶどう
もぐもぐ、やっぱり
おいしいぶどう
パパのかばんも
ママの掃除機も
きっとぶどうが詰まってる
トラックも新幹線も
ぜんぶ、ぶどう
お月様のなかみも
ぜんぶ、ぶどう
だってぶどうはすごいんだ、おくちの中がジュッてなるんだ
かんちゃん、みちくん、せいちゃん、みんなに
ぶどう教えてあげるんだ
もぎもぎふさふさ
いっぱいぶどう
もぐもぐぽちょんと
おいしいぶどう
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ケンちゃんは
いつも元気いっぱい
テレビゲームと車が大好き
とても気が利く
優しい
ケンちゃん
みんなの人気者ケンちゃんは
会うたびに何か持ってくる
楽しい本
変なおもちゃ
お菓子にジュース
いつもなにやらお土産もって
みんなのケンちゃんはやってくる
ケンちゃんにもきっと悲しいことがあって
一人では泣いてるかもしれないけれど
ケンちゃんの泣きべそなんて誰にも想像できなくて
ケンちゃんは
大きな口開けて
歯並びのいい歯をみせてかすれ声で笑うんだ
みんなケンちゃんを大好きで
ケンちゃんもみんながきっと大好き
いいな、いいな
ケンちゃん
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男は人々の病を治す
奇跡の温泉を探していた
岩山だろうが
崖の底だろうが
めぼしき場所はすべて掘った
男の髪は乱れ飛び
顔は般若のよう
目はギラギラ輝いて
体は骸骨のように痩せ細り
人々は彼を狂人扱いし
誰も近寄らなかった
ついに男は素晴らしい成分の土の層を見つけた
あとすこし
あとすこしなんだ
もう体はボロボロ
最期が近づいてきていた
男は、仏を祈り
手を洗い
顔を洗い
粥を食べ
初めてたっぷりと寝た
男は、覚悟を決めて最期の場所を掘った
力尽きガクと膝を着いた時
つるはしの先から温泉は吹き出た
温泉が男に降り注ぐと
豆だらけの老いた汚い手は
若者の手に
髪は、はさりと銀色に腰まで伸び
淀み窪んだ瞳は
神々しい瑠璃色に
男は仙人になった