ホーム > 詩人の部屋 > 剛田奇作の部屋 > 紙コップの愛

剛田奇作の部屋


[162] 紙コップの愛
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

メイクも酷く下手くそだったあの頃


ブルーのアイシャドーもアイラインも
めちゃめちゃに書いて


安物のファンデーションでソバカスを隠した


濃すぎる眉を引いて
駐輪場にはりつく虫


隠し切れないのはソバカスだけじゃなかった


浮ついて、堂々と君を探しては
渇いた口元を押さえた


下駄箱のピラミッドをミニチュアとも知らず解体

中には健気にも君が眠ると信じて


語るのはカーテンの中の君


本当は歩き方や、カバンの掛け方しか知らなかった

君のペンの持ち方を懸命に真似て


君の好きなコーヒーを
いまだに時々、買ってみる


甘すぎるその味は


いつかの雨の匂い


錆びた階段の手摺りの感触


オモチャの愛のうた





2009/01/23 (Fri)

前頁] [剛田奇作の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -