詩人:剛田奇作 | [投票][得票][編集] |
ただ まっすぐに
ほんとうにはじめの
今を
書きたかった
ただ純粋とか
潔癖とか無垢とか
それ以前の
ただ
そうして、ただ
ほんとうにはじめの
私に会いたくて
悪戯に
あなたは言う、寒いならここにいてもいいのよ
私は、答える
ただ私を、思い出したいだけ
そう
私の 声 とか、 話し方とか 筆跡 とか
さりげなさとか
冷たさとか
恥じらいとか
怒りや はじめの夢
はじめての 憎しみ
使いかけのノート
書きかけの名前
余りものを捨てる大人は有るがままの大切さを力説してた
はじめの
ほんとうにはじめの
そう
言葉は何だったんだろう
その季節の眼差しは
誰を
何を刺していたんだろう 射抜いた
その
ほんとうにはじめの先に
触れたものは
透明な窓ガラスの先に張り付いた風景は
そして考える
ほんとうのおわりに
何を書くべきか
こんなにもたくさんの使い切れないものたち
そうして
ほんとうのおわりに
片付くはずもない
温もりだけには
爪を立てずに
ほんとうのおわりに
ほんとうのはじめの
輪郭へ
その鮮やかな白黒の線に
触れることを望み