詩人:剛田奇作 | [投票][得票][編集] |
あいつを捜しています
あいつを知りませんか
ゆめゆめ知りませんか
いよいよ知りませんか
かねがね知りませんか
最後に見たのはいつですか
あいつの声を聴きましたか
あいつは寝てばかりいますか
あいつはやたらティッシュを持ち歩きますか
あいつはたしかにいたんです
あいつは確かにここに座り
くるぶしを掻いたり
目をこすったり
台所を往復したりして
素敵なやつでした
あいつがホラを吹きながらササミ肉を食べているとき
マグリットの絵みたいな時間が流れているとき
私はあいつを殺しました
意外と簡単に事が済み
私は普通でした
世界は普通でした
ただひとつ
庭の済みに落ちたプルトップが泣いているのを除いて